ヒャクロク ページ17
午前はあっという間に過ぎ
体育館裏でクラスメイト全員が集まり話し合いが始まった
劇の王子役がまさかの風邪で早退してしまったのだ。
代役を見つけなければならないが、生憎クラス全員に役職ややることがあり王子はできない。
どうしたものかと全員で考え込んでいたのだ。
私はふと、時屋さんの方を見た。
時屋さんはなにか思いつめたような表情で台本を見つめている。
何か気に食わないことでもあるのだろうか
そんな時、トントンと肩を叩かれた。
振り向くとそこには、時屋さんと一緒にいた三人がいた。
三人にも申し訳ない、いじめるように仕向けてしまった。
『…?どうしたん?』
「…来て」
3人のうち一人の手を引かれ、クラスメイトの輪を抜ける、すると来たのは誰も来ない廊下だった。
「…私らはアンタに謝るつもりはない。
詩乃は気づいとらんけど、アンタに操られとった様な気がしてならんのや」
金髪のショートの子が言った
この子は鋭い、私をわかってる。
確か駿河さん、だったはず
『…うん、ほんまごめんなさい』
私は屑だ、自分で見た目で判断してほしくない、評価されたく無いと思っておきながら、自分が一番容姿を見てる。
ほんまクズやわ
「なんでウチ等なんかはわからんけど、アンタの煽りに乗ったウチ等も多分予備軍やったんやろな」
私から見て左にいる茶髪のツリ目の子は、俯いて自分の愚かさを痛感している。
貴方達は一切悪くない、私と出会わなければ、優しくて可愛い女の子として普通に恋愛とか青春を送れていたはずなのに
私が邪魔したんだ。
『本当にゴメンなさい。
自分でも馬鹿なことしたってわかってる。』
そう言うと、今まで黙っていた群青髪のタレ目の子が、私の前に来て口を開いた。
「それはもうええ、おあいこや
そんな事より、詩乃を助けてほしいねん」
私は目を見開いた。
どういうこと
「あのクズい先公もあんま話してくれんかったけど、アンタ親にひどい目に合わされとったんやろ!」
「お願いや!ウチ等にはどうもできひんのや!
境遇が似てるアンタやなかったら」
ポカンとして話を聞いていくうち、私は背中に冷たい汗が流れた。
夏の暑い日なのに
時屋さんは、幼い頃からできる兄と比べられていた。
比べられて、無視されて、怒られて、褒めてくれたことは一度もないなんて
「今日、詩乃の親来んねん、幼少中高、あの親多分娘の晴れ姿初めて見るんちゃうかな」
『…そっか』
だから私の事を、親で冒涜したとき、苦しそうだったんだ。
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サラミ - 一気読みさせていただきました!!最高です。ありがとうございました!! (2022年8月3日 10時) (
レス) @page30 id: 82adb6822c (このIDを非表示/違反報告)
ネミ - 読み終わった時めちゃくちゃ泣いました！本当に面白い作品をありがとうございます！弦生夏様のご活躍を願います！ (2021年8月27日 16時) (レス) id: 6a4c48ebc2 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - （続き）最高の時間でした。感謝してもしきれません。「視えてます」もこの作品の前に読みまして、間違いなく「勘違いすれ違い」が大好きになった原因は弥生夏様のお陰ですw 今後も応援させていただきます！最高の時間、ありがとうございました！ (2021年7月25日 19時) (レス) id: 9dbbda50e8 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 読了しました！完結おめでとうございます！勘違いから生まれるすれ違いが毎回濃くて面白くて、かと思えば私に無い面白い考え方が幾つも出てきて、展開も最高で飽きず、最後まで楽しく読めました！個人的に、この作品のお陰で気付けた自分の気持ちも幾つかあり、（続く） (2021年7月25日 19時) (レス) id: 9dbbda50e8 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 誤字の報告です。106の初めの方、「に聞くわない」じゃなく「気に食わない」じゃないですかね……？ (2021年7月25日 19時) (レス) id: 9dbbda50e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：弥生夏 | 作成日時：2020年6月1日 21時
