この少女、ドMにつき【wrwrd】3rd

ヒャクヨン ページ15

ゾムの勇気ある告白から2日、私達はいつも通りに過ごし、やがて文化祭を迎えた。
朝早く学校に来て、午前と午後で別れて店番をする。
うちのクラスの劇はお昼の30分間を使う。
私の店番は午前だから、午後から皆と合流する事になっている。

クラスメイトから差し出された服を着て、髪を2つ団子に結び、化粧を施す。
お盆を持ち、服はロリータとチャイナ服が混ざったようなフリルの多いチャイナドレス。

開店まで後十分
私達は来るであろう客の大群の足音にドキドキと胸を高鳴らせていた。

そしてついに、校内放送が響いた。

全店、開店の合図

ロボロ君の声が聞こえたと同時に、一組目のお客さんであるクラスメイトの家族が来店

『いらっしゃいませ!楽しい一時を!』

どんどんお客さんを取り込んでいく。
何でも、午前の花が私らしい
ちなみに午後の花は時屋さん、あの子絶対美人。
私と違ってセクシーなスリットの入った、長めのチャイナドレス、彼女の長くきれいな足が映える…!
是非ともこの目に焼き付けたい。

そんな心持ちで接客をしていると、カランと何かが落ちる音が聞こえた。

「え…」

そこには、特徴的な緑のパーカーが見えた。
とても驚いたような顔をして、立ち尽くしている。

『ゾム!』

ヒールで歩きにくいがゾムに駆け寄ると、ゾムは驚きが落ち着いたのか、嬉しそうに、照れくさそうにはにかんだ。

「口、俺の上げたやつ?」

私の唇を指して、ドキドキと言った感じにきいて来る。
それがとても可愛らしくて、ふと笑ってしまう

『うん、せっかくだし、ゾムがくれたから』

してやったりと歯を見せて笑う私に対し、ゾムは顔を赤く染める。

やはり恋というのは些か面倒なもんやな、ゾムの表情を見て思う。
好いてくれるのは嬉しい、でも、フッた後でさえ相手を忘れられない、次に好きな人を見つけるまで、ゾムは私を引きずるのだろう。

可哀相

せめて、友達をとしては、あなたの隣で笑うから

「お、俺パンケーキ食いたい!」

『お!了解!2百円やで!』

2百円分の金券をちぎり、お釣りを渡す。
厨房に頼めば、あとは呼ばれるのを待つだけ

『ゾム』

「ん?なんや?」

脳裏に思い浮かぶのは、初めてゾムにあった時の事

《なあお前、なんでいじめ受けてんのに笑ってん》

直球な質問、ゾムは分かってたのかもね、私が嘘ついてるの

『ありがとね、話しかけてくれて』

そう言って笑うと、ゾムも笑って返してくれる。

「んははは!変なやつやな!

店員は笑いや!」

『…うん!』

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