魔の呼吸の使い手は。(２)【鬼滅の刃】

63.幸せに ページ29

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私が見せられた夢は『声の人』の過去の記憶。


それと

目の前のこの鬼の、人だった時の記憶。

分かってはいたけど、十二鬼月に上がる鬼達は悲しい人達が多い。





この鬼を救いたい。


けど私には干天の慈雨みたいな型は無い...

でも夢で覚えたあの型なら.........







｢魔の呼吸＿＿肆ノ型




【 羅刹ノ慈涙(ジルイ) 】｣








私の使う型のほとんどが斬られたことを感じさせない。




その中でもこの型は、痛みを『喰らう』。



優しくて暖かい型じゃないけど、せめて苦しみは感じないように。





｢ぁ...ありがと......｣




涙を流しながら消えていくその鬼を見守ることしか出来ない。

当たり前のことかもしれないけど、私は何も出来ない。




それでも、最後にあの鬼の『素の顔』が見れた気がする。




｢...ふー......



こちらこそ...ありがとう......｣




私に色々と気付かせてくれて...

記憶を見せてくれて、ありがとう。




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あの鬼が攫って行った男達はほとんどが生きていた。



何人かは喰われていたが、その中のどの男も街で物取りをしていたりと、人を困らせている人達ばかりだった。



あの鬼はきっと、心から鬼になることが出来なかったんだ。



いくら血鬼術で心を変えようと、根は変わらなかった。


鬼になってからも記憶が無くなってからも、ずっと自分を見てくれる男性を探してたんだ。




街の外では女を食べ漁っていたらしいけど......まぁ流石に前科持ちの男だけじゃ十二鬼月に入れないもんね.........





｢ありがとうございました...ッ...！！｣





連れ戻した男性の奥さんにお礼を言われた。

何気に面と向かってお礼を言われたのは初めてかもしれない？...他の人達も帰ってきた喜びでこちらの事は目を向ける暇もないくらいだし。





旦那さんはどうやら初めの方に攫われていたらしい。
奥さんも旦那さんも泣いていた。




｢いえ、任務ですので...


...お身体にもお気を付けてくださいね...お腹の子も守ってあげてください。｣



｢｢...！｣｣




奥さんのお腹には赤ちゃんがいた。

まだお腹が変わってなかったけど、生まれたら皆で幸せになって欲しい。




帰る時には、街の人達が私が見えなくなるまでお礼を言い続けてくれた。

こうやって少しでも鬼殺隊の活躍を知ってくれる人が増えてくれるといいな。





｢はぁ...今回の任務は結構精神的にきたなぁぁ.........｣


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