ゾル家の眠り姫2【イルミ】 (ページ10)

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｢オレの部屋に小型のボイスチェンジャーあるけど」

そんなもの、何に使ったのか

イルミの部屋に行き、着替えるついでに例のボイスチェンジャーを探す

『これかな』

見つけ次第装着する

『へえ、これ面白いね

本当にイルミになった気分』

「じゃ、私もう行くから」

コツコツとヒールの音を響かせながら歩く彼

ふらつくことも無いし、結構様になっている

『オレも着替えていかないと』

声まで変わったことでなんだか気分もノる

「まあイルミ！！

朝ごはんは？」

母さんの甲高い声が頭に響く

『要らないよ

水だけ飲みに来たんだよね』

そう言うと、無表情でリンゴを頬張る私の姿のイルミの肩に腕を回す

『美味しい？A』

「普通」

ほぼ、いつもの光景だ

「いつの間に仲直りしたんだよ

姉ちゃん達の喧嘩は家中の空気悪くするんだから、さー・・・」

ミルキのお小言にイルミが殺気を飛ばす

『Aがちゃんと謝ったからね

手足をもぎ取るか迷ったんだけど・・・』

少し、イルミに圧を送れば「ごめんごめん」と軽く返ってきた

「イルミに会えて良かったわねAちゃん？

家中を殺気立って歩き回っていたものねェ・・・ふふふ

流石ゾルディック家の長女だわァ

眠っていたブランクを全く感じなかったもの！！」

顔を赤くして語る母さんを尻目に、「ふーん」と私の顔を見るイルミ

「うん、今日はずっと一緒にいるよ」

見つめ合うイルミとA

それをソワソワしながら見つめるミルキとカルト

『さ、食べ終わったなら行くよ』

「うん」

いつもはエスコートされる側の私が、イルミをエスコートしダイニングを出た

やっている側もどこか違和感が拭えない

―――――

「なあ、今日の姉ちゃんちょっとピリついてたか？」

「イルミ兄様が2人いるみたいでした」

「げっ！！嫌なこと言うなよなカルト！！」

―――――

扉の奥には先程去ったはずの2人の影

ミルキとカルトは違和感こそ感じたものの、気がついていないようだ

『イルの負けかな』

「は？そんなわけないだろ」

さて、流石に母さんは気がついただろうか

「そうね・・・

イルミもAちゃんと一緒だと穏やかよねェ

・・・やっぱり双子ねぇ」

ふふふふふと不気味に笑う母に、2人はため息をついた