ゾル家の眠り姫2【イルミ】 (ページ9)

今日:9 hit、昨日:3 hit、合計:21,418 hit

59 ページ9

イルミの仕事は2日後

私のサロンは5日後

「じゃあ今日はもう元に戻っていいよね

疲れるんだよねコレ」

その日、元の姿に戻った片割れと共に入浴し

同じベッドに入る

『やっぱり、安心する』

「先に寝てたのはAの方でしょ」

『うん、ごめん』

「ヨークシンで幻影旅団相手にした事も、忘れてないから

ちゃんと話してよね」

『・・・うん、ごめん』

彼は何かと根に持つタイプだ

解決したあと綺麗さっぱり忘れてくれれば良いのだが

1度怒らせた事は基本忘れない

ちょっと面倒くさい

でも、少し嬉しくもある

数年前の件でも、ちゃんと覚えていて

「そういえばあの時もさー」と掘り返されることがある

彼の頭の中はどれくらいを私が占めているのだろうか

私でいっぱいになっていればいい

『おやすみ、イル』

「うん、おやすみ」

―――――

翌朝、目を覚ますとそこには既に黒い瞳が私を見つめていた

「おはようA

支度しないとね」

今日は1日、イルミと姿を入れ替える予定だ

私は体に針をさして姿を変えるのは初めて

筋肉質で高身長なイルミになるのはなんだか面白そうではあるが

『はいコレ、コンタクト』

「へー、意外と本格的だね」

『バレたら一人で行く予定だった相手の仕事を引き受ける

私の仕事は単独メインだからどれでもいいけど

私が負けたら明日仕事が入るわけだね』

「Aに俺の仕事が務まるのかなァ」

うーんと首を傾げる片割れに『失礼よ』と軽くゲンコツを入れ、イルミの服を1着拝借した

ピキピキと音を立てながらイルミの姿が私に変わっていく

黒いワンピースを着ると比較的ヒールの低いブーツを履き、鏡の前に立つ

身だしなみを整えるその姿は既に女性だ

「うん、これでいいね

じゃあ次はAだね」

イルミが私に針を刺す

バキバキッと音を立てながら私の身体は片割れのそれに変わった

『これで1日いるのはしんどそう』

「あれ？言わなかった？

これ結構しんどいんだよねって」

全身が錆びて軋んでいるような感覚だ

動きずらい

これを1日続けていたら、明日仕事になんて行けないかもしれない

しかし条件は同じだ

『着替える』

「じゃあオレはご飯だね」

『私はあとから水でも飲みに行こうかな』

そしてここで気がつく

イルミの針では声までは変えられないことに

姿はイルミ声は私

そして逆も然り

ものすごい違和感だった