ゾル家の眠り姫2【イルミ】 (ページ6)

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『まだ動くからいい

気になるなら折らなきゃよかったのに』

「あ、そうだったね

でもこれで、邪魔する腕が1本減ったんだから

まあ結果オーライだろ？」

と何やらわざとらしく人差し指を顎にあてて考える素振りをする片割れ

この “かくれんぼ” もとい “かくれおに” を終わりにするつもりはまだないようだ

『私、イルのことみつけたし

大手かけてると思うんだけど』

赤いベールのマリアは、私に興味を持った者を操ることの出来る能力だ

私とてイルミと同じ操作系

彼が針を刺すことを条件とするなら、私は私に興味を持たせ、目を合わせることを条件とする

それを知っていても、彼は私から目を逸らさない

これでは私が勝ってしまう

・・・勝って、しまう？

私とて早く決着をつけてしまいたいのだが

「発動しないの？」

私の念獣を指さす

『私に何かするなら』

彼は相変わらず何かを考えている

「なにかして欲しいの？

じゃあ選びなよ

手足を全て折られるのと

針を刺されて俺に従うの

オレ怒ってたんだよ？

オレが仕事の時に限っていつも1人で勝手に外出するし

挙句の果てにはいなくなってるんだからさぁ」

積もり積もったものが爆発したようだ

しかし

私もホコリを被ったお人形に成り下がる気など毛頭無い

でも、イルミの気持ちも分からない訳ではない

片割れの綺麗な白い肌に傷でもついたらこちらは冷静に仕事などこなせなくなりそうだ

それなら、誰も触れられない所に置いておいて

自分だけが眺め、触れることができるようにしておきたい

『なら、置いていかないで

寂しいでしょ』

でも、私はじっと待つのが苦手だ

思い立ったら動きたい

好きならそばにいたいし

常に眺めていたい

どんな時でも

「んーー・・・

Aはまだ目覚めてまもないしなぁ」

口から出たのは小さなため息

『これでも、あの日幻影旅団を2人撒いたの

私が暗殺対象にでもならない限り、殺されたりしない

イルの手は煩わせないよ』

私の兄弟は過保護だ

紅一点だとしても

ゾルディック家の長女だ

舐めてもらっては困る

腐っても暗殺者

狩る者の側であるのだ

サクサクと音を立て、ゆっくりと彼に近づく

自身より圧倒的に背の高い彼

『また、一緒に行こう？

あの頃みたいに

・・・全部、とはいかないけど』

「それで、オレが許すとでも？」

『許してくれないの？』