ゾル家の眠り姫2【イルミ】 (ページ30)

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ベンチに寄り掛かり、揺れる木の葉の隙間から除く空を眺めていれば、隣から聞き捨てならない発言が

「隣のお兄ちゃんの頭にお花が咲いたよ♤」

・・・は？

「うわぁーーー！！！すごーい！！」

子供たちの目がオレの頭に集中する

ヒソカのショーはなんだかんだで喜ばれているようだ

「オレを巻き込むなよ、ヒソカ」

「いいじゃないか♢ボクとキミの仲だろう？」

「そんなに仲良くなった覚えはないよ」

「・・・つれないなァ♡」

そうこうしている間に日も傾き、ヒソカのショーも無事観客はいなくなったようだった

『ただいまイル

・・・ヒソカも一緒にいたの？』

頭に乗せたままだった花を取りながらAは隣に腰かけた

「おかえりA♧

怪我でもしたのかい？」

『いや、眠りすぎただけ

念のために検査しに来たの』

「で、どうだったの？」

オレの問いに、病院の名前が書かれた封筒を差し出した

『何でもないみたい

特に病気は見つからなかったよ』

そう、結果は何も出なかった

1週間も眠り続けたAの検査は

無事、“健康”という結果という形で落ち着いたようだった

―――――

「健康そのものですね」

目の前に座る医師は、いくつもの賞を総なめにしたらしい俗にいう名医と言うやつだ

父さんの伝手のようで、この病院を予約したのも父さんだった

そして、この医師の言う通り

私の体感的にもおかしいという感覚はない

何処か痛いかときかれても

苦しいかときかれても

否

今回の眠りは、本当に眠っていただけなのだ

「この後みんなで食事でもどうかな♧

何もなかったんだろう？」

ヒソカの誘いに隣に座るイルミは乗り気ではなかったが

私は一日病院で検査三昧だったわけで・・・

『おごりなら』

誘いを受けることにした

「えー、行くの？」と眉間に皺を寄せそうな勢いの片割れの腕を引き先を歩くヒソカの背中を追った

「何食べたい？ ♡」

『何でも

イルは？』

「オレも

特にこだわりないしね」

「キミたち・・・その回答が一番困るんだけどなァ・・・♤」

そんなことを言われても

私たちは毒が入った食事でも黙って口にするくらいなのだから

食べられるものであれば喜んで口にする

『・・・ヒソカ』

「うん？なんだいA♧」

『食後、甘いものがあるところがいい』

「了解 ♡」

ヒソカはタクシーを止めると、行先を告げた