ゾル家の眠り姫2【イルミ】 (ページ26)

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働かない頭をフルに回転させる

昨日、傍にはいなかったもののずっと上から見ていたのだ

あの場に能力者はいなかった

Aに別の意味で手を出そうとした女はオレが始末した

彼女は誰も殺していない

イルミはそうシルバに話すと、何かを考えるようなそぶりを見せたが

そのまま部屋に戻っていった

Aには数か月前までつながっていた

会話をするための装置が

再び繋がれた

誰が、なんと声をかけても反応はなかった

彼女にその意思がないのだろう

「・・・A」

気が付けば部屋には

もうイルミとA以外誰もいない

外は暗くなり、空をも涙を流しているかのように

雨が降り始めた

―――――

彼女が眠ってから1週間が経った

片割れであるイルミは眠る彼女の髪をなでる

穏やかに眠る彼女は

以前のようにイルミの声に反応して機械の声を聴かせることすらなくなった

つい数日前まで、イルミの腕に絡みついてきた

細くて白い腕は

持ち上げて自身の腕に絡ませても

再び力なく重力に引かれていく

「ねえA、次の仕事はどうするわけ

オレがまた、1人でこなすの？

勝手だよね

・・・また、オレを独りにするなんてさ

オレの背中を守るんじゃなかったの

オレが怪我をしたら治してくれるんじゃなかったの

なんとか言いなよ」

眠るAの首元に針を突き付ける

こんなことをしても意味がないことくらい、わかっているのに

「オレは仕事に行くからね」

力なく立ち上がり、彼女に背を向けた

ノブに手をかけたその時だった

―――コツン

何かが、落ちる音がした