ねむれる王子とおめざ姫

九 ページ10

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「 慎ちゃん、今日はありがとう 」


「 気にすんなって！

　 母さんも父さんも喜んでたし 」


「 うん、慎ちゃんママのご飯おいしかった♪ 」


「 だろだろ？ 」



放課後、帰宅を渋る瑠を慎太郎が家に招待しました


大切な少女が落ち込む姿を見ていられなかったようです



「 毎日来てもいいんだぞ 」


「 えっ？ 」


「 あの女と顔合わせんの嫌じゃね？ 俺は全然構わない 」



親切心が半分・下心が半分


幼なじみから一歩でも十歩・・・本心は百歩は前進したい慎太郎です



「 おい、ゴリラ。 俺をダシに瑠を口説くんじゃねぇ 」



唸るような低い声に二人は声を出せずに振り向きます



「 おせーよ、瑠 」


「 じゅ、樹 」


「 いいじゃん

　 おばさんには連絡したんだし、俺が送って来たんだし 」


「 それが一番キケンだろうが！ 」


「 えっ？ 慎ちゃん喧嘩強いよ 」



瑠は樹の真意に気づいていません



「 樹、ひどい！ 慎ちゃんが弱虫だっていうの？ 」


「 はっ？ そうじゃねーよ！ 」



樹は慎太郎が送り狼に変身することがキケンだと言っているのです


暴漢から瑠を守れないのをキケンだと言ってるわけではないのです


兄と幼なじみの間に飛び散る火花がなんなのか？


まだ瑠には理解できないようです





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