ねむれる王子とおめざ姫

十歩 ページ34

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「 樹、ずるいぞ！ 勝手に瑠とくっついて！ 」


「 いいだろ。 もう兄妹じゃないし 」



『 マジおまえに勝ったわ♪ ざまぁ 』っと慎太郎の怒りを増長させる樹



「 ふん、どうせしばらくパリだろ？ その間に・・・ 」



ニヤリ・・・と挑発的に笑う慎太郎



「 おい、瑠に手ぇ出したら命はねーからな 」


「 はあ？ 聞こえねー 」



遠慮のない “ Mouth fight ” に乱入したのは・・・



「 俺の目の黒いうちは瑠は誰にもやらんぞ？ 」


「 父さん？ 」


「 おじさん？ 」



瑠への溺愛ＭＡＸの父でした



「 いや父さん、俺は両思いだから 」


「 俺は認めてない 」


「 親父を超すパテシィエになったら？ 」


「 たった一年ポッチの留学でなれると思ってんのか？ 」


「 愛があれば・・・ 」


「 ふん、言っとくが 」


「 な、なんだよ 」



寡黙な父が瑠のことになると饒舌になります


あまりの豹変ぶりにたじろぐ樹です



「 瑠が２０歳になるまできよーい交際だぞ！！ 」


「 父さん、それひどくない？ 」


「 おまえは信用できん！ 」


「 息子になんてこと言うんだよ！ 」


「 バカ。 俺の息子だからだよ！！ 」



父は自分の手の早さを自覚しているようです


樹はそれにあやかりたいようですが・・・多分無理でしょう



あっという間に留学する日が来て


あっという間に帰国する日が来て



瑠の夢を叶えるために修行を重ねた樹は、父をしのぐパテシィエに成長していました





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