ねむれる王子とおめざ姫

Step ４ ページ15

★★★★





瑠・樹の父・母と謙太郎・深澤の交渉は、


“ 苺たっぷりミルフィーユ ”を全て購入することで決着がつきました


屋敷でことりの心配をしている大勢の使用人分です


父と母はせっせと箱詰め作業中


岩本は箱詰めされたソレをどんどん車に運び、深澤は支払いをします


待つ間、謙太郎とことりは樹と瑠の４人っきりになりました


瑠とことりは姉妹のように仲良くおしゃべりをするのに、


樹と謙太郎は天敵のように顔を合わせようとしません


そこだけ空気が淀んでいます



「 謙太郎様、終了いたしました 」



深澤の一声で、二人は心の中でホッとため息をつきました


この居心地の悪い場所から解放されると思ったからです



「 瑠ちゃん、また会いにきていい？ 」


「 今度はお家の人に言ってからだよ、ことりちゃん 」


「 うん♪ 」



お互いが従姉妹同士だと知って、一気に距離が縮まったようです


無邪気に指切りげんまんをしている妹と妻の姿に、兄と夫は複雑な心境です



「 お前たちが岩本の縁者ってことは、ことりの縁者であり・・・

　 俺の縁者になるのか。 ゲッ、最悪だ 」


「 お前が先に残念そうに言うな。 俺だって最悪の気分だ 」



毒舌を繰り返す義理の従兄弟同士です



「 そうだ、コレあげる♪ 」


「 へっ？ 」×２



驚く瑠と樹に、


ことりが四つ葉のクローバーを二本差し出しました



「 二人が幸せになるように 」



ニコニコしながら、『 わたしと謙太郎さまのように 』と付け加えました



「 ことり、兄妹は結婚できないんだぞ 」


「 キョウダイ？ 」



謙太郎が諭すように言ったのですが、ことりには理解できないようで



「 だって・・・ 」



続けて何か話そうとしたとき、照がそれを遮るように



「 ことり様、謙太郎様、急ぎましょう 」



と、声を張り上げました





★★★★

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