番外編 ページ7
A宅のリビングで、何となく彼女が毎年見ている年末恒例番組。
今年はガロウも寝っ転がって肘枕をしながら暇そうに見ていた。
何の警戒もせず時折軽く肩を揺らすガロウを見て、Aはいちいち感慨に浸る。
あ〜、自分の家に想い人がいるってこんなに幸せなのか。
こんなに何気ないような一場面でさえ、ガロウが傍に居るって実感出来る距離なんだ。
「終わりが来るなんて、考えたくないな。」
A自身は無意識に吐いた言葉だったが、テレビの騒音が止んだ束の間でやけに響いた。
ガロウはゆっくりとAを振り返り、立ち上がる。
「もうほんのちっとで年明けだぜ。感傷に浸るより、良いことしたくねぇか？」
そう言ってAの頬に手を当てたガロウの顔は、ほんの少しだが寂しさを滲ませていた。
Aもまた、眉根をきゅっと寄せ、何かを堪えるような目で彼を見据える。
「…どうしようといずれは終わりが来る。俺だっていつどうなるか分かったモンじゃねぇが、終わりが来るまでは居られんだろ」
小さい宝石のような金色の瞳で、強かに告げられる。根拠のない言葉だけれど、それは彼女に不思議な安心感を与えてくれた。
「…ん。ガロウがそう言ってくれるなら、怖くない。」
また会えて嬉しかった。これからもずっと傍で生きたいな。
彼女はそう言って、幾分背の高い彼にそっと口付けた。
◇
happy new year！
早いもので一年が終わりましたね…今年も頑張って良い年にしていきたいものです！
このお話も書き始めたばかりで、正直右も左も分かっておりませんが、温かい目で読んで頂けたら幸いです。
皆さんにとって良い一年となりますように！
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作者名：楓 | 作成日時：2019年12月29日 1時
