蛇足 ページ10
■誰かの記録
古い紙に筆で書かれたような筆跡。相当古いもののようだ。黒いひもで一つにまとめられている。
少し水に濡れた影響だろうか。ところどころ滲んで見えない部分がある__
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死んでしまった人間の友人に折角文字を教わっていたのだ。
彼の遺品である紙と筆を使い、人間のように記録をつけていくことにする。
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冒頭にはこう書かれていた。
何枚かめくると気になる文がでてきた。
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ここから帰る途中、たまたま一匹でいた鯨の人魚を拾った。
まだ幼いようで両親には捨てられたのだろう。住処に連れて行くと
奴は面白いくらい目を輝かせた。いいことをした。
これで俺も人間に近づけただろうか。
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この記録を書いたものは人間になりたいみたいだった。
いいことをすると一つ、また一つ、人間に近づいている気がするのだと優しい文字でつづられている。
ページをめくるごとにその鯨の人魚について詳細に書かれるようになっていた。
だがある時を境に様子がおかしくなっている。
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鯨は大きくなった。頭もよく、力も強い。それは俺たちの中で誰よりも。
奴は俺の居場所を奪った。地位も、名誉も、仲間も全部。
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めくればめくるほどにその字は乱雑になっていった。
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奴は醜い。最低な男だ。絶対に許しはしない。
俺はただ人間になりたかっただけだというのにすべてを奪った。
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もう人間になることなどどうでもいい。
奴にさえ復讐できればそれでいい。
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そしてめくっていくと特別綺麗な紙に達筆なきれいな文字でこうかかれていた。
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そうだ、簡単な話じゃないか。やつを人間に喰わせよう。
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ねむこ(プロフ) - ゆかさん» ありがとうございます〜!光栄です! (6月19日 8時) (レス) id: 7450988cef (このIDを非表示/違反報告)
ゆか - 絵柄がとてもだいすきです!こんな上手な絵描けるの羨ましいです! (6月17日 22時) (レス) id: f18a32c293 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねむこ | 作成日時:2023年4月17日 23時