宿儺くんって、意外と器用。【両面宿儺】

ところでなんでもいいって1番困るよね ページ10

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「だーかーら、お礼！させて！お世話になりっぱなしじゃ嫌なんだって！」

「煩い。礼など要らんと言っている」


このやり取りを随分前から続けている昼休み。

お弁当は美味しく頂きました。


「日頃の感謝も込めて。いいでしょ」

「感謝？俺に？お前が？」

「面倒見てくれてるでしょ」

「見ていたつもりは無いが」


上で言ったように、私は宿儺くんにお世話になりっぱなしなのだ。

何もせずに貰うだけ貰う程、私は傲慢じゃない。



それに私は知っている、宿儺くんは押しに弱い。

いつかは折れてくれるんじゃないかなって。


「譲らないよ。出来ることならやる」

「はぁ...」




受け取ることも優しさ。


小さい頃にお母さんに言われた言葉。当時の私は意味がわからず小首を傾げていただろうが、今になってみると意味がよくわかる。

お母さんか......。


と、ずっと顔を顰め、だんまりを貫いていた宿儺くんが渋々、と言ったように口を開いた。


「...なら、自販機でコーヒー買ってこい。弁当の貸しはそれで返せばいい」


宿儺くんが言いながら150円を渡してきた。

私のお金で買ってこようか...？とも思ったが彼がそれでいいならそれでいい、私は従うのみだ。



「あいあいさ、ブラックですか、ミルク入ってた方が良いですか」

「別に何でも」


なんでもいいが1番困るよ宿儺くん。


「じゃあ質問を変えます。甘いのは好きですか」

「普通」


普通なんだ、ちょっと意外。いや、いい意味でなんだけど。


「そうですか、じゃあパシられてきます」

「何故敬語」


「気にしたら負けだよ、あと宿儺くんさっきから単語しか喋らないね」


では行ってきます、と付け加え私は教室を出た。

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「...アンタって押しに弱い？」

「コイツ？かなり弱い！」

「よしお前ら一発殴らせろ」

「お前ら1回黙れ、宿儺は殴るな」

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