宿儺くんって、意外と器用。【両面宿儺】

野薔薇様ほんと野薔薇様 ページ9

*
と、こんな会話をしたのが30分前の登校中。

野薔薇ちゃんには相談済み。

野薔薇ちゃんには


『作ってくれるってアイツの方から言ったんでしょ？なら良いんじゃない、
　 貰えるもんは貰っときなさいよ』


と言うお言葉を頂いた。「他人事だね...」と言ったら


『Aの問題ならAがどうこうするべき、まあ話ぐらいは聞いてやるけどね』


だそう、その通り過ぎて泣ける。

宿儺くんはまだ来てない。否、正確には来ているのだが、教室には姿を見せていない。と言った方が正しい。


「どーこ行ってんのかなー......」


彼を探しに教室を出るより、教室で彼を待っていた方が比較的効率的。と判断し机に伏せて彼を待ってみる。

暫くそうしてボーッとしていると、不意に隣からガタリ、と椅子を引く音がした。

隣に見えたのは席替えから2週間が経ち、見慣れてしまった桜色。


「あ、......宿儺くん、おはよ...」

「........................はよ、」

「！？！？！？」


気まずそうに、ボソリと発せられた彼の言葉に、私は思わず顔を上げる。
あの宿儺くんが。私に。挨拶。

気まずさよりも驚きが勝って目を見開く。


「おい、何故驚く」

「いや......あの宿儺くんが挨拶...え、なんかあった...？話聞くよ...？」

「つくづく失礼な奴だなお前」


珍しく静かだったから応じただけだ、と付け足し彼は机に突っ伏してしまった。

それだと常に私がうるさいみたいな言い方じゃないか、
と思ったが全くもってその通りだったので何も言わないでおいた。


「......あ、」

「え、なに？」


すると、彼は何かを思い出したかのように顔を上げ、席を立った。

少しの間、ボーッと待っていると、


「ん、」


投げて寄越したのは丁寧に風呂敷に包まれてあるお弁当箱。

「あ、え？まさか、」

「俺が言ったからな、仕方無い」


自分で持ってろ、とバツが悪そうに目を逸らして、彼は言った。
本当に作って来てくれるとは思わなくて。律儀なんだな、と思いながら。


「ほんとに作ってくれたんだ。......その、ありがとう」


どうこうと考える前に、とりあえずは今目の前の彼に感謝。


何も言わず、今度こそ机に突っ伏す彼は彼らしい。


「ありがたく頂きます」


宿儺くんに言いながら、近々何かお礼しなくちゃな......と考えた今日の朝。

━━━━


「アイツ、意外と律儀なんだな」

「そうだよ！なんだかんだ良い奴だから」

「雰囲気がカップルのそれなのよね...無自覚だろうけど」

ところでなんでもいいって1番困るよね→←助けてメグえもんPart2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す