宿儺くんって、意外と器用。【両面宿儺】

宿儺くんside楽しいこれ ページ6

『そんなに俺の飯が好きか？』


冗談半分で言ったつもりだった俺の言葉。


『ん、好き。胃袋掴まれた』


包み隠すこと無く、心底幸せそうな顔で告げた隣の席のコイツに、柄にも無く心臓が跳ねた。





AA。

高校入学してから2度目の席替えで隣になった。


第一印象は表裏の無い奴。


俺を相手にしても尚、怯えること無く平気で俺に絡みに来る。そんな奴。


俺は生憎兄のように万人受けするような性格では無く、寧ろ目の敵にされることの方が多い。故に好き好んで俺に近づいてくる奴なんて居ない。


それは俺も理解しているし、1人は割と嫌いでは無いので差程気にしてはいなかったが。




それも踏まえて、俺に真っ向から意見してくるような奴は今まで見てきた中でアイツただ1人だ。1人では無いか、釘崎野薔薇もだったな。



忘れた物を俺に借りれるのもアイツだけだな。



アイツは随分と物好きらしい、わざわざ好き好んで俺に近づく。何度突き放しても、平気で俺に話しかける。

1度だけ、何故そこまでして俺に近づくのか、本人に聞いてみたことがあった。

何故そこまで俺に関わろうとするのか、単純に気になったのだ。

アイツの答えも至極単純で、


『宿儺くんってさ、皆が思ってる程悪い奴じゃないと思うんだよね。
ただ仲良くなりたいって言う単純な理由だけど...駄目だった？』



眉を下げて困った様に笑うアイツに、



眩しい、と思った。



俺とは違う。直感的にそう思った。


それからもアイツは俺に近づいて来た。

鬱陶しい、と心の中で思いながらも、毎日飽きることなく笑顔で俺の所に来るアイツを見て、
嫌われていない、とどこか安心している自分が、心のどこかに居るのだろう。





それを口に出して伝えられる程、俺は素直じゃないのだが。




本当に、アイツは分からない。


はぁ、言ってしまったものは仕方無い、作ってやるか。



明日からはまた手間が増えるな。面倒だが、今はこれで良い。

助けてメグえもん(笑)→←野薔薇ちゃんしか勝たん

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