宿儺くんって、意外と器用。【両面宿儺】

夏休み前日だわっしょい ページ18

*

「宿儺くん宿儺くん」


朝一番に声を掛けてみる。

夏休み前日の今日。

彼には無視された。が、ここまでは想定内。


「夏祭り、行こう」

「......は？」


流石の宿儺くんもポカン顔。


『距離縮めたいんだったら夏祭りにでも誘えば？
　夏休み中に丁度やってるでしょ』


先日のお泊まり会で野薔薇ちゃんが言っていた。

採用させて頂きました野薔薇様。



「言い方を変えようか、デート行こう」

「そう言う問題じゃないだろう」



誤解を生む言い方になってるぞ、と冷静になった宿儺くんが言った。


「大体、何故俺を誘った、釘崎野薔薇とでも行けばいいだろう」

「野薔薇ちゃんは実家帰るんだって。
　...あ、悠仁と行く予定だったりした？それならやめるけど」


ダメ元で誘ってみただけだ。

断られるのは想定内。寧ろ断られる前提で誘った。


「アイツとは行かん、誘って来るだろうが」

「いや、そこは行ってあげよ」

「面倒臭い」



悠仁が泣くよ。


無理かなー、なんて思っていたら。



「はぁ、...俺以外に誘う奴がいないなら行ってやる」


悠仁と行くよりはマシだからな、と。


「...え、マジ？嘘じゃなくて？」

「そう言ったろうが」


嘘でしょ、了承してくれた。




「ふふ、宿儺くん宿儺くん、着てくなら浴衣がいいなぁ」


「......はぁ、勝手にしろ」


思わず口元が綻ぶ。


断られると思ってたのに。


誘ったのが私だったからかな、なんて。



そうやって優しくしてくれるとさ。


私は単純だからね、



ちょっと期待しちゃうんだよ、宿儺くん。
━━━━━━━━━━━━━━━
「誘ったのねA......ナイス」

「俺と行くよりマシって......兄ちゃん泣いていい？」

「勝手に泣いとけ」

「すげぇドライじゃん伏黒、傷つく」

再び集合！→←お泊まりですよ超楽しい

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す