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思い。 ページ3

「産まれた時からありましたけど...それが何か......?」



何がしたいのか解らない、とでも言いたいような、心底戸惑ったような表情で、皺一つ無い制服に身を包んだ彼女は言った。



やはり、か。



今、目の前で此方を困惑気味で見つめている彼女は、世にも珍しい術式と天与呪縛を兼ね備えた準一級呪術師だ。



彼女が持つのは、怨霊操術と呼ばれる術式。
その名の通り怨霊を召喚し、其れを使役する術式だ。呪霊を使役する私の術式とは何処か似通った部分がある。この術式は呪術界では珍しく、使える人間は彼女ただ一人だろう。

ただ、この術式は珍しいと同時に恐ろしく、彼女自身が呪詛師に堕ちてしまった時。彼女を止められる者は居ない。恐らくだが、特級呪術師の悟や私でも、彼女はきっと止められない。



何故なら彼女は、日本三大怨霊の一人である平将門と、その娘とされている滝夜叉姫をも使役してしまうから。



彼等は恐らく、彼女が使役する怨霊達の中でも、頭一つ抜け出る程強い。
等級を設定するなら特級だろう。



そんな彼等を使役してしまう強大な術式が、彼女が天より与えられた物だ。



天与呪縛と言うのは、何か強大な力を天より与えられる代わりに、何かを強制的に犠牲にしなければならない、生まれながらに受ける縛り。当然彼女にも受けている縛りがある。



痛覚の欠如と反転術式でも治らない身体。これが彼女が受ける縛り。



何故私がここまで知っているのかって?ふふ、何故だろうね。



そして悟が言うには、彼女には術式も、呪力もある。天与呪縛の内容も前回と同じままだそうだ。



彼女は人手不足が常の呪術界において、優秀な人材になる。人口が増え、術師の数も極端に減った今の状況では尚更。



だが、この任務を言い渡された時、私はかなり葛藤していた。



強大な術式を持っているとは言え、彼女はまだ未成年で、増してや中学を卒業間近の子供だ。



この腐った呪術界に、数えきれない程の呪霊を、命を懸けて相手にするこの地獄に、招き入れたくない。この思いは、きっと悟も同じだろう。クズと名高い彼だが、恐らくその思いはあるのだろう、上層部を極端に嫌う彼のことだ。



だが、この思いも虚しく、彼女は呪術界に、この地獄に入らざるを得なくなるだろう。特級呪術師である私達をこの為に派遣したのも、彼女を招き入れる為の算段だろうな。ふと思った。






宿儺様の夢小説とか言っておきながら全然宿儺出てないな。近い内に出ます。

サヨナラ。→←不審者。



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作者名:麦茶 | 作成日時:2021年3月14日 13時

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