【バチカン奇跡調査官】〈熾天の預言者と天彩の祓魔師〉 (ページ5)

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第一章《Ⅳ》ページ5

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ボクは閉じられた扉とロベルト神父の顔を交互に見た。
「……驚きの部屋割りにボクも脳みそがついていきません」
「奇遇だな。僕もだ」
その返しに思わずクスリと笑ってしまった。
「……でもニコラス神父は平賀神父と同室の方が都合がよろしいのでは？今から掛け合ってみましょうか」
「いや、君の方こそ大丈夫なのかな？」
その言葉にボクは笑う。
「平気です。兄さんとは意見が会わないことが殆どなので」
「驚いたな。君達兄弟は仲が良さそうなのに」
「仲は良いですけどボクと兄さんは一緒に育ってきた兄弟じゃないんです。それに、ボクはどうせ偽物ですから」
ボクは立ち上がって荷物の整理を始めた。ロベルト・ニコラス。
「……午後に予定されたシスター・エキドナとの会合はボクも同席するつもりです。兄さんはその……過去を見られるのが嫌みたいで」
「そうかい。君は平気なのか？」
「まさか。でもボクの過去なんて見れるのだとしたら悪夢みたいなモノですよ」
この神父は物怖じしない性格なのか。堂々として聡明な神父だ。ボクや兄さんからは眩しすぎる位だし。
「ロベルト！」
「平賀。どうかしたのかな」
「ああ、聞いて欲しいんです。ロベルト。エドワルドさんが」
思わず手が止まってしまった。
「失敬。平賀神父。少し通してください」