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いつもと違う ページ37

瀬戸side


「ねぇ、カイちゃん。手、握る必要ある?」


私の手は今、カイちゃんの手に包まれている。

傘と傘の間に手が出てるから、雨が当たって少し冷たい。


「はぐれちゃったら危ないでしょ、みはちゃん方向音痴だし!」


カイちゃんはそう言いながら、ぐんぐんと進んでいく。

ふれあいコーナーに向かっているんだろう、たぶん。


「いや、そこまで酷くないと思うんだけど」

カイちゃんについて、というか半分引っ張られながら私は歩く。


方向音痴なことは自覚してるけど、子供扱いされるのはちょっと心外だなぁ。


「さっき地図見て唸ってたのは誰だっけ〜?」


「……自分です」


「だったら俺についてきてよね」


カイちゃんははそう言うと、私の手を握る力を強めた。

その手は暖かい。そして私の手より少し大きくて、ごつごつしている。


末っ子で甘えたなカイちゃんだけど、やっぱり男の子なんだよね……。


っとなんて考えてたら、ますます手の感触がダイレクトに伝わってきた。


ダメだ、変な意識しちゃう……他のこと考えよう、うん。


そう思って斜め前を見たら、そこにはカイちゃんの横顔。


きりっとした眉毛に高い鼻、それは骨格がしっかりした男性の顔つきだった。


いつも可愛い弟のカイちゃんが、今日はなぜか大人に感じる。


ふにゃふにゃした可愛い口元も


よく見ると、ふっくらした下唇が色っぽい。


そう感じてしまっている私は、本格的にヤバいと思う。

顔に熱が集まってくるのがわかる。


私がじっと見過ぎて、それに気づいたカイちゃんが振り返った。


「みはちゃん、何じろじろ見てるの?俺の顔何かついてる?」


カイちゃんのまん丸した綺麗な目が私を射止める。


「っん……何にも、ないよ」


「え、なんで目そらすの?」


「ううんっ、ほんとに何でもない」

カイちゃんの視線をよけて、私は下を向いた。


ほんとに変だ、私。


そう思った瞬間、カイちゃんと繋がれていた手が離れた。そして



「ねぇ、みはちゃん。自分が顔真っ赤になってるの気づいてる?」



気づけば、カイちゃんの手は私の顎に添えられ、私は強制的に上を向かされていた。


その目線の先には、挑発的な大人の笑みを浮かべて私を見るカイちゃんがいる。



「ふふっ、今日のみはちゃんいつも以上に可愛い」



カイちゃんはそう言うと、私の頭を優しく撫でた。



「っばか……年上をからかわないの」


そして私は、そう反論するので精一杯だった。

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作者名:猫嬢 | 作成日時:2018年11月1日 19時

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