高専の問題児が逆トリしてくる話

夏物を探しに　逆ナン祭編２(視点:夏油) ページ25

なるべく短時間でAと合流するために集中する。

夏『(普段着なんて、あまり選ばないから新鮮だな。楽しくはないけど…。でも、この店はいいな。値段も手頃でごちゃごちゃしていない。)』

今後に備え、動きやすさを重視した服を選んでいく。術式が使えない今、頼れるのはフィジカル面のみ。鍛えてきて本当に良かったと素直に喜ぶ。

夏『(呪いが見えることで幼い頃から他人と素直に馴染めないこともあった。高専に入ってきて悟や硝子と出会って変わった部分や救われた部分もある。見えないことがこんなに不安になることは今後無いかもしれないな。それに……。)』

女４『お兄さん洋服たくさん買うよね？何かあったの？困ってるとか〜？』
女５『爆買いってやつ？お金持ちなの？』
女６『モデル体型だよね〜！もし服決めきれないなら一緒に考えるよ！私らそーゆーの好きだし！』
女７『上からw！でもお兄さんなら何でも似合いそー！』

夏『(ほら来た。Aが最初にこの世界で声をかけてくれたことがどれだけ大きいか…。)いや、遠慮するよ。連れと来てるんだ。それに急いでてね。』

女７『見た見た！あの白い頭のサングラスの人だよね！あの人もヤバいイケメンだったよ！』

声をかけてきた女性客に囲まれる。どうしたものかと断る方法を考え始める。

五『傑！終わったか？俺どれにするか決めかねててさ〜。俺らの“お姉ちゃん”に選んでもらわね？せっかく買ってくれるって言ってんだし。』

別の女性たちを引き連れた悟が声をかけてくる。初めは彼が何を言ってるのかわからなかった。

夏『(急ぐのにナンパなんてされてる場合じゃないだろう？)』

そう思いながら悟の本心を探ろうと彼の顔を見ると、新しいオモチャを与えられた子供のようにキラキラ…、いやギラギラとした顔で笑っていた。

夏『(“お姉ちゃん”……。なるほどね。)いいだろう！せっかく一緒に来たんだ。意見をもらおうか！』

きゃーきゃーと叫んでいる女性たちの間をすり抜け、悟に近づく。そして、目的の場所までゆっくりと歩き始めた。

夏『(さて、今度はどんな顔が見れるか…。楽しみで仕方ないな。)』


(視点:A)

『！？』

突然感じた真夏らしからぬ寒気に嫌な予感を感じる。

『(クーラーかけて寝たからか？風邪引いた？)』



この時、この直後に現れる二人の悪魔により、地獄に突き落とされることを彼女はまだ知らない。

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