猫と暮らせば

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近くの広場には、様々なお店が出ていた。食べ物から雑貨のブースまで勢揃いしており、沢山の人で賑わっていた。


『わーお店がいっぱいだね〜。あ、あのパン屋さん美味しそう！』


いろいろなお店をあーだこーだ言いながら見てまわるのは本当に楽しい。ウォヌには珍しいものが多かったのか、立ち止まって説明を聞いたり、変わった虎の置物を買わされそうになったりと、晴れの日曜日を楽しんだ。


軽食のブースもあったので、休憩することにした。木漏れ日が気持ちいい。




『いろいろ出てて楽しいね』


「うん、面白い。サンドイッチうまい」


『ついこないだまでねこまんま食べてた子がねぇ』


「俺はグルメなんだよ。でも、Aちゃんの作った味噌汁ごはんが一番うまい」



むしゃむしゃとよく食べるウォヌ。コーヒーを飲みながらそんな姿を眺める。美味しそうに食べる姿を見ると幸せな気分になるのは、猫も人間も関係ない。









「A！」




ウォヌの食べっぷりに浸っていると、誰かに呼ばれたので驚いてそちらを向いた。



『ミンギュ！久しぶり！』



大きく手をブンブンと振りながらミンギュがかけてきた。幼馴染のその人は私の目の前まで来ると、大きな身体を折り曲げてぎゅっとハグしてきた。




「A！最近どうしてんの？ぜんぜん連絡くれないじゃん」


『あー、なんか忙しくて…』


身体を離すと一気に話し出す。


「そうなんだ。Aが構ってくれなくて寂しい。俺地味にスネてたんだよ〜。また遊ぼうよ！Aん家行ってご飯作ってもいいしさ。いつにする？そう言えば最近パエリヤにはまってて。Aにも食べてほしいなあ。魚介がうまい店があって、そこで食べたのがすんごい美味しくてね。店長に無理言ってレシピ聞いたの。で、家で作ってみたらこれが美味しくてさぁ〜！」



ご機嫌にトークを繰り広げる横で、ものすごい負のオーラを放つ人かいる。



「ところでさ、A、この人は？」



大きな二重の目が一瞬でウォヌを上から下まで一瞥した。


『あ、この人はね、えーっと、ちょっと友達っていうか…』


隣に目をやると、一言も発さずにウォヌはミンギュを睨んでいた


『ちょ、ちょっと今日具合悪いみたいでごめんね。また連絡するね！』


パンをくわえたウォヌを連れて逃げるようにその場を立ち去った。


「おーい、Aーー！また連絡するからー！」



振り返ると、綺麗な八重歯を光らせてミンギュが手を振った。

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