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コン、コココンといつものノックをして、返事をされる前に私は戸を開けた。呆れたような顔の教授に私は帰りの挨拶に来ました、と笑顔で言った。
「君は、私に挨拶をしないと帰れない呪いにでもかかっているのかね？」
『そうだとしたら、どうなさるおつもりで？』
「そうだな、解呪薬を用意してやろう。強い呪いを解くほど、飲めたものでは無い味がするだろうが。」
意地悪い笑みを浮かべる教授に恨めしそうな視線を送ると、彼は何が不満でも？とさらに笑みを深くした。
彼を見て、今年を振り返っていると、ふと3年初日に見た夢を思い出した。
私の知らぬ母の名を呼んでいた父の夢を。
『そういえば…』
「今度はなんだ。」
『″ナタリア″という名前に聞き覚えはありますか？』
「ナタリア、… …。」
深く考え込む教授を注視する。
眉間のシワが一瞬濃くなったあと、彼は私の方へ視線を向けた。
「… …何故だ？」
『… 父が私の母をそう呼んでいたんです。…あと、昨年の日記のトム・リドルも。』
「… … そうか。」
『何か、知っているんですね？』
「…知らん。」
『嘘。』
「… … …。」
3年の仲なのだ。もう今更彼が嘘をついているのか否かくらい大体分かってきた。けれども、ここまで真意を隠しているということは、彼なりの理由や考えがあっての事なのだろうとも思う。
しかし、母の真実が知りたい。私が何よりも追い求めているものなのだから。
俯いた私の様子を見兼ねてか、教授は口を開いた。
「…名前を聞いたことはある、が君の言うナタリアとは恐らく別人だ。私の知る彼女は…早世している。」
『本当ですか？』
「ああ。… …君が9つの時、君の母は他界したのだろう。ならば、同名の他人だな。」
確信を持ったような教授の言い方に、私は何も言えなくなってしまった。やっと手掛かりを見つけたと思ったのに。そう思いながら、自分を何とか納得させた。
「そろそろ行け、出遅れるぞ。」
『そうですね。それではまた、次学期に。』
私が振り返って手を振ると、教授は控えめに片手を上げた。
ただ1人自分だけが残された部屋で、彼女から聞いた名前を反芻していた。
ナタリア。
先程彼女に言った通り、私が知るナタリアは早世しており、恐らく彼女の母とは別人だ。
しかし、何か嫌な予感がする。
「… …まさかな。」
不安げに放った言葉は空に消える。
自身の手首に刻まれた印が疼いたような気がした。
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猫田(プロフ) - ななおさん» ありがとうございます！コメント本当に励みになります。これからも面白いと思って貰えるようなお話かけるよう頑張ります！ (2月21日 1時) (
レス) id: 922d1d8c49 (このIDを非表示/違反報告)
ななお - アズカバンの囚人までお疲れ様でした‼︎毎回面白くて楽しく読ませてもらってます。これからも作者様のペースで頑張ってくださいね (2月21日 1時) (レス) id: cf12d55d58 (このIDを非表示/違反報告)
猫田(プロフ) - ななしさん» ありがとうございます！お休みでフレッシュした分1層頑張ります (2月18日 14時) (レス) id: 922d1d8c49 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - お疲れ様です😆🎵🎵気長に❤️ (2月14日 8時) (レス) @page41 id: 9b994bebe6 (このIDを非表示/違反報告)
猫田(プロフ) - みぃさん» 嬉しいです！ありがとうございます (1月28日 22時) (レス) id: 922d1d8c49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猫田 | 作成日時：2024年1月9日 9時
