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コン、コココン。いつかの変なノックで、私は彼の部屋の戸を叩いた。入れ、と数秒後に声が聞こえて、私は深く息を吐いたあと戸を開けた。
部屋は少しだけ荒れていて、彼の葛藤が垣間見えた。
彼の様子はというと、あまり普段と変わらない気はした。
私は杖を振って辺りを少し片付けたあとに、椅子に座り、2人分のコーヒーを入れた。
教授からの言葉を待ちながら、私は自分のコーヒーに角砂糖を入れて、くるくるとスプーンでかき混ぜる。
暫く、互いの呼吸の音だけが部屋に響いた。
湯気の立たなくなったコーヒーに手をつけた時、彼の口は開いた。
「…突然、済まなかったな。」
『特に予定はありませんでしたし、大丈夫ですよ。』
いつものような声色で私は答えた。
そんな私を教授はちらりと見やった。しかし視線をふっと下に戻す。何から話すか、考えあぐねているようだった。
あまりの間に、何だかもどかしくなってしまって、私から話を切り出そうと、口を開いた。
『教授』 「A」
私の声にぴったりと教授の声が重なる。
あ、と彼に視線を向けると彼も私と同じような顔をしていて、つい破顔してしまった。
笑う私を見て、教授は強ばらせていた肩を少しだけ楽にした。
「… …A。」
『ふふ、はい。何ですか』
幾分か柔らかくなった彼の声に、先程の笑いを引きずりながら私は返事した。彼はいつも吊り下げている眉を下げて、まるで遠い夢を見るかのように私を見ていた。
「感謝する、ありがとう。」
実直な感謝の言葉に私は面食らった。
彼は目を伏せる。
「…聞いていた通り、私は奴らに殺されかけた。おかげで、奴らを憎み、恨んだ。殺したいくらいに。」
彼の憎しみの炎は未だ激しく燃え上がっているのが、彼の瞳から伺いしれた。
「君は、真実を知らなくていいのかと、そう言ったな。」
『ええ、言いました。』
「正直、そんなものは犬にでも食わせておけとそう思った。奴らを殺せるのなら、そんなもの瑣末事だと。」
彼は自嘲気味に笑って、過去を思い返すように机をなぞった。
「自分の学生時代を最悪にした男達、私を理解しようともせず、殺そうとした。ならば、殺す権利はあるだろう？」
私は俯いた。彼はやはり、私を気にして自身の憎しみを封じてブラックのことを密告しなかったのかと。
「… …私を理解しようとしていない奴らの真実を理解して何になる。そう思った。」
教授はそこまで言ったところで私に目を向けた。
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猫田(プロフ) - ななおさん» ありがとうございます！コメント本当に励みになります。これからも面白いと思って貰えるようなお話かけるよう頑張ります！ (2月21日 1時) (
レス) id: 922d1d8c49 (このIDを非表示/違反報告)
ななお - アズカバンの囚人までお疲れ様でした‼︎毎回面白くて楽しく読ませてもらってます。これからも作者様のペースで頑張ってくださいね (2月21日 1時) (レス) id: cf12d55d58 (このIDを非表示/違反報告)
猫田(プロフ) - ななしさん» ありがとうございます！お休みでフレッシュした分1層頑張ります (2月18日 14時) (レス) id: 922d1d8c49 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - お疲れ様です😆🎵🎵気長に❤️ (2月14日 8時) (レス) @page41 id: 9b994bebe6 (このIDを非表示/違反報告)
猫田(プロフ) - みぃさん» 嬉しいです！ありがとうございます (1月28日 22時) (レス) id: 922d1d8c49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猫田 | 作成日時：2024年1月9日 9時
