22 ページ23
それから時が過ぎ、学期が終わる2週間前、ホグワーツはクリスマスムードに満ちていた。そんなムードに関係なく、私は教授に指導を受けに行く。
コンコンとドアをノックし、戸を開けるといつも通りの様子で教授は執務机に腰がけていた。
「…来たか」
『はい、お願いします。』
教授はさっと私に向き直り、杖を振って部屋をまっさらな状態にする。
『もう始めるんですか？』
「ああ、この後用がある。」
訂正する。教授はいつもとは少しだけ様子が違うようだ。
なんだか少し緊張しているような、そんな感じ。
『分かりました。』
私と教授は互いに礼をし、後方へ3歩下がり再び向き直る。
目がばちりとあうと、即座に呪文が放たれる。
教授に指導を受け始めて2年と少し。少しだけ成長した気がする。
今まで、目で追うのすら難しかった教授の呪文は、いなせるようになってきた。それに、戦略を考える余裕なんかもでてきた。
しかも100本中1本程は教授の杖を奪えるようになってきたのだ。
『っ、』
ただ、このように考え事なんてしていたら、簡単に攻められてしまうが。
「ここまでとする。」
『はい、本日もありがとうございました。』
私は一礼した後、教授と自分の分の珈琲を入れる。
私は角砂糖をひとつ、教授のものは入れずに、コースターの上へカップをそっと置いた。
教授と同じ机で珈琲を飲むこの時間は、私にとって何よりも落ち着けるそんなひと時だ。
私は珈琲を飲みながら教授を盗み見ると、目が合ってしまった。
驚いて少しむせた私に対して、教授の顔は固いままだ。
「…アシュリー」
『けほっ、…は、はい。』
教授は口を真一文字に閉じて、少しだけ目線をさ迷わせたあと、観念したように息を吐いて、杖をひと振りした。
すると、緑のリボンで包まれた箱がゆっくりと運ばれてきて、私の前へ置かれた。私が眉をひそめて教授を見つめると、教授は気まずそうに顎をくい、と引いた。…開けてみろ、という事だろうか。
私は杖を箱にこつりと当てる。すると、リボンがしゅるりと解かれ、箱はゆっくりと開いた。
『… …これは…』
それは、木苺やクランベリーがのった、ホールサイズのラズベリーのムースケーキだった。そして、そのケーキの真ん中にはチョコプレートが鎮座しており、″ Blessings for the start of happy days (幸せな日々の始まりに祝福を)″と書かれていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 188人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
猫田(プロフ) - ななおさん» ありがとうございます！コメント本当に励みになります。これからも面白いと思って貰えるようなお話かけるよう頑張ります！ (2月21日 1時) (
レス) id: 922d1d8c49 (このIDを非表示/違反報告)
ななお - アズカバンの囚人までお疲れ様でした‼︎毎回面白くて楽しく読ませてもらってます。これからも作者様のペースで頑張ってくださいね (2月21日 1時) (レス) id: cf12d55d58 (このIDを非表示/違反報告)
猫田(プロフ) - ななしさん» ありがとうございます！お休みでフレッシュした分1層頑張ります (2月18日 14時) (レス) id: 922d1d8c49 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - お疲れ様です😆🎵🎵気長に❤️ (2月14日 8時) (レス) @page41 id: 9b994bebe6 (このIDを非表示/違反報告)
猫田(プロフ) - みぃさん» 嬉しいです！ありがとうございます (1月28日 22時) (レス) id: 922d1d8c49 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：猫田 | 作成日時：2024年1月9日 9時
