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9_Dinner is Served ページ9

潮の匂いがなんだか久しぶりの気がして息を大きく吸い込む。あれ以上あんな小屋にいたら気が狂っていたろう。…なんていうのはオーバー過ぎか。



「あれがフライング・ダッチマン?」

遠くを見据えるとボロボロの幽霊船があった。
一際異常なその船はこの広い海の中でさえ、大きな存在感がある。

一際異質だ。

ウィルに作戦を聞くと、ボートで乗り付け鍵を探して奪い、邪魔する奴は切り捨てる!…らしいがほんとうに大丈夫なのだろうか。この心配が私の杞憂であってほしいけれど。



「ボートの支度ができましたぜ、旦那。」

その言葉を聞いたウィルはボートに抵抗なく乗り込む。遠くなっていくウィルにジャックは言葉を投げかける。


「おい!もし捕まったらジャック・スパロウの借りを返しに来たって言い逃れろよ!そしたら命は助かる!」


完全にウィルを利用しているジャックにため息を深くついた。







ウィルの見送りが終わり、甲板にジャックと私二人だけが残る。

『ジャック、ウィルが捕まったとしたら彼は100年間彼処で働き続けることになるわ。彼がポートロイヤルに戻ることは無い、わかってて利用したんでしょう?』


ため息混じりに彼に問いかける。波が大きく船に打ち付け周りの静かさが一層際立った気がした。
ジャックは目を伏せたあと、まあな、と答えた。

「Aは反対すると思ってな、何も伝えなかった。頭にきてる?」

『当たり前でしょう。自分のことをウィルで清算しようと思ってもきっと意味は無くなるわ。』


私はジャックの味方だ。だけれども、彼の考えをすべて尊重するわけじゃない。

今回だってそうだ。きっとウィルは失敗する。そして、ウィルがジャックの借りを返すという名目で働こうとしても、きっと彼は許してくれるような人じゃない____。



そう思っていた時だった。

ジャックはふと望遠鏡を覗く。
嫌な予感がして、息を呑む。


「わっ!」


『っ!』




私たち二人はその姿に驚く。

音もなく現れたのは、デイヴィ・ジョーンズとその手先達だった。久方ぶりに見るその姿はタコのような頭部と、カニのような左手、となかなかにパンチが強い。


「借りを返してもらおうか。約束通り13年間ブラックパールの船長をやらせてやった、そういう契約だろう?」

私を庇うようにジャックは私の手を引く。
ほら、私の思った通り、彼は甘い人ではなかったのだ。









Dinner is Served

10_say the first thing that comes to mind→←8_a destined flow changes



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猫呼び - デッドマンズ・チェスト攻略!ラストはとくにバルボッサ好きにはたまりませんね!ジャック多め故の再会の引き立ち様が素敵です。個人的に今作はジャックが可愛いかった…!作者様への感謝と共に続編へ行ってまいります! (2019年3月19日 22時) (レス) id: 7ba933280f (このIDを非表示/違反報告)
猫田(プロフ) - まるごと林檎。さん» のんびり更新に着いてきてくださって感謝しかありません…!お褒めの言葉嬉しいです…!ありがとうございます! (2018年8月22日 11時) (レス) id: e5d9246f57 (このIDを非表示/違反報告)
まるごと林檎。 - 久しぶりの更新、ありがとうごさいます!ジャックの心情がすごく伝わってきました!これからも頑張ってください! (2018年8月22日 9時) (レス) id: f2a1eaf862 (このIDを非表示/違反報告)
猫田(プロフ) - 天ノ江さん» 約一年越しの返信となってしまいすみません!ありがとうございます!最高の褒め言葉をありがとうございます、バルボッサの魅力を引き出せるよう今後も頑張って行きたいと思います! (2018年8月22日 5時) (レス) id: e5d9246f57 (このIDを非表示/違反報告)
天ノ江(プロフ) - すごく面白くて、一気に読んじゃいました!この作品を読んで更にバルボッサが好きになりました(笑)更新頑張ってください!応援してます! (2017年9月14日 1時) (レス) id: 49f85c03a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:猫田 | 作成日時:2017年9月5日 1時

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