陶器人形とクイズと彼ら

この子、探してます。貴女side ページ7

大会も終わり受験の時期を迎えた。

まるであの大会は幻だったかのように世間は忘れていった。

相も変わらずやりたいことなんてなかった自分は、「一流の大学に行けば何かを見つけられるかもしれないぞ」という担任の勧めから東京大学を志望した。

昔から「何を考えているかわからない」と言われ続けたことを思い出し、心理を学ぶのもいいなという気持ちで文学部を選んだ。

　受験日当日、となり座った男子に声をかけられた。

？「ねぇ、それ邪魔じゃないの？」

そういって自分の髪をペンで刺してきた。

『あぁこれ？いや、別に何とも。』

？「ふーん。男なのに変わってるな。」

あぁ、こいつ男だと思ってんのか。

しかし、今訂正するほどの大した問題ではないと思い、とりあえず無視した。

よし、顔を覚えて入学したらいじってやる。

　合格発表の日、何の問題もなく自分の番号を発見し、小さくガッツポーズを心の中でした。

？「あ、あった。」

聞き覚えのある声に振り向くと隣に座っていた彼だった。

？「あ、ロン毛。」

「なんだそれ。」

？「だってお前髪長いじゃん。」

当たり前なんだけど、なんか違うんだよな。

『AA。文学部1年になる。女だから。』

適当に自己紹介をした。性別もちゃんと訂正して。

女というのに驚いたのか彼は目を一瞬見開いたが、またけだるそうな目で見てくる。

塩「塩原裕翔。法学部1年になる。男。」

いや見たらわかるわ。なんて思ったけど声には出さない。なんか彼となら楽しくやっていけそうだな。

『うん、よろしく。』

差し出した手のひらに裕翔の手はすぐに重ねられた。この数秒後にあの爆弾明と恵に出会うのだった。

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