陶器人形とクイズと彼ら

疑惑。　２ ページ32

ただ、いまだに全てを受け入れることができないでいた。

企業のために努力することは良いことかもしれない。
でももし、利用されているだけだったら？
信じられると思ったこの場所も、今までと同じだったら？
今度はもう二度と自分を出すことなんてできなくなってしまう。

もとから人前に出ることはそれほど得意じゃなかった。
演劇部だって、自身が演出する舞台を創りたいがために入ったのに、結局は演者として、部の客確保のために利用されてるようなもんだった。

ふ「それで、YouTubeの出演に関してのことなんだけど…どうしたの？」

『…え？』

気づいたら頬が濡れていた。

伊「ふくらさん！？泣かせたの！！！？？」

ふ「ちょ！？違うって！！本当にどうしたの？」

騒ぎを聞きつけ一度デスクに戻っていた皆さんも次々にリビングへとやってくる。

『あの、すみません。目にまつげが入っただけですので。お手洗いおかりします。』

この場にいたら迷惑をかけてしまう。
一刻も早く涙を止めて、またいつも通りにならないと。
トイレに駆け込み、深く呼吸をする。

明の奴こうなることわかっててやったのか？
メイクが崩れてるのではと手鏡を見たもの、全く崩れていない。
アイツ先読みすぎだろ。

とりあえず涙を止めるためにもと考えたものの、全く止まる気配がない。
むしろどんどんポロポロと落ちてくる。

捨てられたくない。利用されて終わりは嫌だ。
段々と息が上がってくる感覚。
あぁ、めんどくさい奴だなぁ自分。

口元に残ったリップを手の甲で拭うと、ほのかに甘いラベンダーの香りが残っていた。





＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
ラベンダーの香りのリップなんてあるのかという問題。
そこは触れないで下さい(必死)

そして登録者数200人越えからのルーキー作者ランキング69位！
本当にありがとうございます！
これからも頑張ってお話書いていきます！

疑惑。　izw side→←疑惑。　貴女 side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す