行き先 ページ5
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あれから数日経ち、あたしはそろそろ退院する日を決めなくてはならなかった。
けれど困ったことに、退院後の行き先がない…。
まさか敵連合に戻る訳にはいかない。
それでは"もう一人のあたし"を救けたことにはならない。
すると病室の扉をノックする音が響いた。
「やぁ、元気かい？」
と塚内警部とオールマイトが扉から姿を現した。
そして今日はもう一人一緒だ…。
「今日は君の今後についての提案に来たんだ。」
と話を切り出した塚内警部。
それはあたしが今悩んでいる事だった。
「あ、あの…あたし、それに困ってて…。」
とあたしが言うと
「大丈夫、わかっているよ。」
と優しく笑った塚内警部。
「我々警察とヒーロー側で協議した結果だが…
危険性は無さそうだが、君が嘘をついている可能性
はやはり拭いきれなかった。
そして、雄英高校で保護及び監視する事が提案され
た。
万が一の事を考えて、抹消を使える彼と行動を共に
する事が条件だが…。」
と未だに扉に背を預けて立っている男性を指差した塚内警部。
「彼は相澤消太。
ヒーロー名はイレイザーヘッド。
雄英高校1年A組ヒーロー科の担任だよ。」
とあたしに彼を紹介してくれたオールマイト。
「相澤さん…。
あの"抹消"って…？」
と私が聞くと
「それが俺の個性だ。
俺に見つめられている間は個性を発動できない。」
と説明してくれた相澤さん。
相澤さんの個性は対敵に有効だろう。
でも、あまりにも危険ではないか…？
「監視とはいえ…元敵のあたしが雄英高校の敷地内に
いる事で、生徒たちに不安を与えるとは思わないん
ですか？
個性を使えないあたし自身に危険はありません。
それこそ、ヒーロー候補生たちの方がずっと強いと
思います。
けど"もう一人のあたし"は違います。
彼女が目覚めた時の事をあたしは心配しています。
彼女に主導権を握られてしまうと、あたしは一切こ
の身体に干渉できなくなってしまう。
退院後の居場所を提供して下さるのはとてもありが
たいです。
でも、それを考えると…とても不安です。」
とあたしが震えた声で言うと
「その危険がない様に俺と行動を共にしてもらうん
だ。
プロヒーローが教師として多く在籍している雄英高
校だからこそ、すぐに対処できるって考え方もある
とは思わないか？」
と相澤さんは答えた。
それでも私の不安は拭いきれなかった。
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作者名：九音 | 作成日時：2021年3月3日 23時
