護送車両襲撃 ページ35
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「将棋ってさ…。
ようするに玉を奪ればいいんだよな？」
とトラックの上でしゃがんだまま弔が聞いた。
「そう単純じゃねぇぞ。」
と荼毘が返事をしている。
オレたちは今、トガからの連絡で高速道路をトラックで走行中だ。
「あぁ、言ってた通り来たぜ。
2人ともお疲れ！
八斎會から最寄りの敵病院へは、この高速に乗るの
が一番早いからな。
連絡ありがとう。
トガのおかげで助かったよ！」
とオレが電話越しに言うと
『連絡は仁くんの指示です。
私は出久くんに見とれてたので！
むしろそちらの手を煩わせてすみません。』
と返事をしたトガ。
『戦え…逃げるんだよ！
殺せ！やめろ！俺が俺だ！』
と電話越しにトゥワイスの声も聞こえる。
大丈夫か？
トゥワイスたちが言い合いしてるけど…。
マスクはどうした？
『暫く警察の動きを見てましたので、可能性は高いで
す。
"核"の子は手に入れられませんでしたが、完成品が
まだそちらにあると考えているのです。
なかったとしても、挨拶しておきたいでしょう？』
とクスクス笑って言うトガに
「ああ、後はこっちに任せろ！
警察やヒーローに見つからないように気をつけて帰
れよ？」
と電話を切って護送車両を見つめた。
「おいトカゲ、ふらついてんぞ。
俺酔いやすいんだ。」
と不満を洩らす荼毘に
「『トカゲ』は駄目だ！
スピナーだ！！
ゲームで鍛えた俺のドライビングに文句でも！？」
と答えたスピナー。
「警察を襲うことが本当に"真のヒーロー社会"、ステ
インの意志に沿うのか…。
俺は逡巡してるのだ！」
と言うスピナーに
「必要な犠牲さ、スピナー。
運転頼むぜ。」
と弔は答えた。
「さて…。」
と言うと荼毘は蒼炎で護送車両を先導するパトカーを襲った。
しかし砂がパトカーを覆い、炎は防がれてしまう。
「敵連合…！！
社会に仇なす悪鬼の徒！」
と姿を現したのは、サンドヒーローのスナッチだ。
「ヒーロー…！
そりゃぁいるよなぁ。
ダルい！
スピナー、減速！」
と声をかけた弔はスナッチに向かって飛び出した。
「五指で触れて崩壊させる個性！
砂塵は掴めまい！」
確かに弔の個性とは相性が悪い。
「有名人だな。」
と言う荼毘に
「弔は視線誘導だ。
さぁ、オレたちも行こう！」
と声をかけると、オレは弔の乗ったパトカーの下へ潜り込むように氷山を作った。
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作者名：九音 | 作成日時：2021年3月3日 23時
