提携 ページ32
64
あれから数日後。
オレと弔は、この前の返事をしに死穢八斎會の事務所へと赴いた。
今回オレは弔の護衛だ。
敵の本拠地に一人で行かせる訳にはいかなかった。
構成員に案内されて辿り着いた先へ足を踏み入れると
オーバーホールはすでにソファーに座っていた。
「殺風景な事務所だな。」
と言う弔。
四角いローテーブルを挟んで、二人掛けのソファーが2つ置かれただけの事務所だ。
「ゴチャついたレイアウトは好みじゃないんだ。」
とオーバーホールは答えた。
「地下をグルグル30分は歩かされた。
蟻になった気分だ！
どうなってるんだ、ヤクザの家ってのは。」
と散々歩かされた弔が文句を言う。
「誰がどこで見てるかわからないし、客が何を考えて
いるかもわからない。
地下からのルートをいくつか繋げてある。
この応接間も地下の隠し部屋にあたる。」
「八斎會が今日まで生き残ってるのも、こういうせせ
こましさの賜物さ。」
と説明するオーバーホールとその隣に座る構成員。
「でだ！
先日の電話の件、本当なんだろうね？
条件次第でウチに与するというのは。」
と構成員が聞く。
ドサッとソファーに座った弔の隣にオレも座る。
「都合の良い解釈をするな。
そっちは敵連合の名が欲しい。
俺たちは勢力を拡大したい。
お互いニーズは合致しているワケだろ？」
とテーブルに足を乗せてそう答えた弔に
「足を下ろせ、汚れる。」
と言うオーバーホール。
いつもなら弔を注意するが、今日はしない。
オレはこいつが嫌いだ。
言う事を聞くつもりもない。
「『下ろしてくれないか？』と言えよ、若頭。
本来頭を下げる立場だろ。
まず"傘下"にはならん。
俺たちは俺たちの好きなように動く。
五分、いわゆる提携って形なら協力してやるよ。」
と弔が言うと
「それが条件か？」
と問うオーバーホール。
「もう一つ。
おまえの言っていた"計画"、その内容を聞かせろ。
自然な条件だ。
名を貸すメリットがあるのか検討したい。
尤も…」
と弔がそこまで言うと
「自由過ぎるでしょう、色々。」
「さっきから何様だ、チンピラがぁ！！」
と後ろの構成員の1人が弔の頭に銃を突きつけ、もう1人が弔の肩を掴んだ。
「てめぇら、ふざけんなよ！
弔から手ぇ離せ。
凍らされてぇのか？」
とオレが立ち上がると
「A…いい。
まだ話の途中だ…。」
と弔はオレを制した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 16人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：九音 | 作成日時：2021年3月3日 23時
