一触即発 ページ31
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Mr.コンプレスは男を閉じ込める為に手を伸ばした。
けど何故か個性が発動しない。
「触るな。」
と男が腕を振ると、Mr.コンプレスの左腕が消し飛ぶ。
嫌だ…嫌だよ。
仲間が傷つくのも、仲間が死んでくのも。
弔が走り出して男に向かって五指を伸ばすと
「盾っ！」
と男が叫ぶ。
男を庇うように飛び出してきた人物に弔の五指が触れ、崩壊しボロボロと崩れ去った。
こいつ…仲間を！？
「危ないところでしたよ、オーバーホール。」
と男の仲間たちが姿を現す。
「なるほど…。
ハナからそうしてりゃ、幾分かわかりやすかった
ぜ。」
と言う弔。
「待て、どこから！！
尾行はされてなかった！！」
と言うトゥワイスに
「大方どいつかの"個性"だろう。」
と弔は答えた。
「穏便に済ましたかったよ、敵連合。
こうなると冷静な判断を欠く。
そうだな…戦力を削り合うのも不毛だし、ちょうど
死体は互いに一つ。
キリもいい。
頭を冷やして後日また話そう。
腕一本はまけてくれ。」
と男は踵を返す。
このまま帰れると思ってんのか？
冗談じゃない！
「てめぇ、殺してやる！！」
「弔くん、私刺せるよ。
刺すね。」
とトゥワイスもトガも臨戦態勢をとる。
「全員下がってろ。
オレが氷づけにしてやる！」
とオレが前に出ると
「Aっ、駄目だ…。」
と弔が言った。
なんで…！？
なんでだよ？
「賢明だ、手だらけ男。
すぐにとは言わないが、なるべく早めがいい。
よく考えてみてくれ…。
自分たちの組織とか色々…。
冷静になったら電話してくれ。」
と紙を投げて寄越した男は、仲間と共にその場を後にし去って行った。
オレは弔の胸倉を掴んで
「なんで止めたっ！？
あいつはマグネを殺した。
Mrの片腕を奪ったんだぞ…？」
と大声で叫んだ。
「これ以上、仲間を失う訳にはいかなかった。
Aも…俺は失いたくない。」
と悲しい瞳をして答えた弔に、これ以上何も言えなかった。
オレは弔の胸倉を掴んでいた手を離すと、Mr.コンプレスに目を向けて
「Mr…大丈夫か？
取り敢えず止血して、応急処置をしよう。」
と声をかけた。
弔の言っている意味はわかる。
きっと正しい判断をした。
けどオレは、行き場のない怒りをどこに向ければいいのかわからなかった…。
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作者名：九音 | 作成日時：2021年3月3日 23時
