期待 ページ22
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『結構状況動いてます！
現在通過者52…あ、53名！
続々出てます！
2人以上を脱落させた者もいる為、脱落は230名！
そして今、54人目出ました。
あと半分切った！
早く、終われ！』
どんどんと通過者が増えていく中、緑谷くんが士傑高校の女子生徒と戦っているのが見えた。
あたしは彼女を知っているような気がした…。
あたしは病院を出てから雄英高校で過ごしている。
他校の生徒とは、今日初めて会ったはずなのに不思議だった。
緑谷くんは、瀬呂くんと麗日さんの加勢で彼女を退ける事に成功したようだ。
『また通過者出まして、現在58名です。
あと42名通過で終わり！』
と放送が入る。
あたしがみんなの状況に見入っていると
「ガムいる？」
とMs.ジョークがあたしに声をかけた。
「えっ、あ…ありがとうございます。」
とガムを受け取ると
「いえいえー！」
とMs.ジョークは笑った。
「誰が落ちたか通ったか見れないのがもどかしい
な…。」
と言う相澤さんに
「ウチの真堂がバックリ割ったせいで、余計見辛くな
ったな。
何？
心配してんの？」
と聞くMs.ジョーク。
「…A組ってクラスを暫く見ていてわかったことがあ
る。
連中は気付いてないが、A組はその実二人の存在が
大きく作用してる。
クラスをまとめるでもないし、中心にいるわけでも
ない。
おまけに仲は最悪。
だが、いつの間にか二人の熱はクラスに伝播してい
く。
妙な事だが、大事の渦中に必ずどちらかがいるん
だ。
ジョーク、俺は心配じゃない。
期待してるんだ。
奴らの存在が、クラスを底上げしてくれている。」
と相澤さんは答えた。
期待…。
相澤さんの言う二人が誰を指すのか、なんとなくわかる気がする。
あたしがA組の授業を見学し始めて、まだほんの少ししか経っていない。
けど、彼らならきっと…と思わせてくれる。
だからみんなならきっと通過できるとあたしも信じてる。
『ハイ、えー。
ここで一気に8名通過来ました！
残席は10名です。』
と入る放送。
残りは10人…。
その時、空へと向かって伸びるレーザーが目に入る。
あれは…青山くん？
レーザーを中心に旋回する鳩の群れ、それに潜んで動く影、くっつくボールに閃光。
『2名通過！！
残りは8名！！
7名…5名…
続々と、この最終盤で一丸となった雄英が！
コンボを決めて通っていく！』
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作者名：九音 | 作成日時：2021年3月3日 23時
