2つの魂 ページ3
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「あたしは、死柄木Aとこの肉体を共有していま
す。
でも普段はいつもあの子の人格が主導権を握ってい
て、あたしが彼女の中で眠っているんです。
あの神野の地で何故か彼女の支配が緩んだんです。
それが何故かはわかりません。
けど、あたしは"もう一人のあたし"がこれ以上罪を
重ねなくてもいいようにあの磁力の個性とワープの
個性を態と"拒絶"したんです。
あたしはあの子を救けたかった！
身体の主導権がまだギリギリ彼女にあった状態だっ
たので、あれが最大限だったんですけど…。」
そこまで説明すると、塚内警部が顎に手を当てて
「では、君は死柄木Aの中で眠っていた間のこと
は殆ど覚えていない…という事だね？」
と聞く塚内警部に
「はい。
彼女のこと以外は何も…。
お役に立てなくてごめんなさい。」
とあたしは眉を下げて謝った。
「君が何故彼女とその身体を共有するようになったの
か聞いても…？
それも個性が関係しているのだろうか？」
と聞くオールマイト。
「これは多分、あたしの個性です。
2歳で個性が発現したあたしは、その個性がなんだ
かわからないまま昏睡状態に陥ってしまいました。
私の本当の肉体は、今も空っぽのまま眠り続けてい
るんです。
そして、この肉体になってから魂は2つに分かれて
片方が眠っている間に片方が主導権を握る状態に変
化しました。
多分あたしが本当の肉体に戻ることができれば、こ
んなことにはならないはずなんですけど…。
私、個性が使えないんです。」
と説明した。
「1人の身体に2つの魂…。
発現したはずの個性が使えない…か。
主導権が変わったきっかけは？」
と塚内警部に聞かれたが、きっかけはわからなくて首を振った。
わからない事だらけで、申し訳なかった。
「取り敢えず、事情はわかった。
すまないが、こういう仕事だからね…君が全て真実
だけを語っていると鵜呑みにすることはできないし
嘘をついている可能性もないとは言い切れない。
けれど、君が志村燈という人物である以上逮捕する
訳にはいかないし、私個人としては君が嘘をついて
いるようには見えない。
死柄木Aと君とでは性格も話し方も正反対のよ
うに感じる。
だから今は自分の脚を治す事だけを考えてくれ。
その後のことは、これから考えよう。」
と塚内警部はあたしを不安にさせないように笑った。
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作者名：九音 | 作成日時：2021年3月3日 23時
