君と今日も明日も2 (ページ16)

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目覚める狂気ページ16

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正確に言えば、オールマイトの怪我も引退もあたし自身が原因ではない。

そこにあたしの意思はない。

けど、死柄木Aは間違いなくあたしと同じ身体を共有する人物であって敵連合の一員だ。

事情を知らない人からしてみれば、オールマイトを引退へと追いやった敵の一人にしか見えないだろう。

それを後悔しても意味がない事をわかっていながらも後悔の念は消えなかった…。

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みんなの必殺技の訓練が始まってから3日目の夜。
食事と入浴を済ませたあたしは早めに眠りについた。

『よぉ、ヒーローごっこは楽しいか？』

と眠ってからすぐに聞こえてきた言葉。

あたしはこの声を知っている。
一番近くで聞いてきた声…。

「死柄木…A…。」

透明な壁を隔てた向こう側。
あたしと同じ姿をした彼女は冷たい瞳でこちらを見つめていた。

ついに…彼女の目が覚めてしまった…。

あたしが恐れていた事が現実になる。

今、この身体の主導権を彼女に譲る訳にはいかない。
生徒たちに危害を加える訳にはいかないんだ。

けど、どうやって防げばいい？
どうすれば彼女に主導権を奪われずに済む？

『オレに身体の自由を奪われるのが、そんなに嫌か？
　敵のくせに偽善者ぶって、あたしは悲劇のヒロイン
　なんです…ってか？

　オレもおまえも、同じ身体を共有してるんだ。
　オレの罪はおまえの罪。

　敵は敵らしく、気に入らないものは全部ぶっ壊せば
　いい！

　おまえだって…自分を救けてくれないヒーローが嫌
　いだろう？』

とあたしに囁くA。

所詮、敵は敵…。

でも違う。

ヒーローはあたしを救けてくれた。
敵のあたしにも手を差し伸べてくれた。

あたしは悪くないって言ってくれた。

だから…！

「あたしはそうは思わない！

　ねぇ、あたし知ってるんだよ。
　あなたが本当は無理して戦ってること…。
　本当はこれ以上誰も殺したくないし、傷つけたくな
　いんでしょう？

　なら、もうやめようよ？
　あたしはこれ以上あなたに罪を重ねてほしくない
　の…。」

と彼女を説得しようと試みるが

『うるせぇっ！』

と彼女は透明な壁を蹴破って破壊した。

あぁ、ダメだ。
あたし一人じゃ彼女には勝てない。

きっとあの壁はあちら側とこちら側の境界線。

あたしの居場所が彼女に奪われてしまえば、あたしはまた主導権を握られてしまう。

それは絶対ダメだ。