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僕が藍香さんのことを理解して数年。
僕はとうとう死を悟った。人生に価値を見つけられず。いや。人生においてもっともの『死』を除けば。
猫は主人に死に目を見せてはいけない。藍香さんは今日もあの部屋にいる。僕が引っ掻き過ぎて、ボロボロになったドアのあるあの部屋に。
最後の別れにと、もう一度ドアを引っ掻く。信じられないくらいに弱々しく。藍香さんには聞こえていないのか、中からはペンを走らせる音しか聞こえてこない。どうせ死ぬならあの場所へと、昔から決めていたあの場所へ向かう。
草のベットの上。さらさらとした音に眠気を感じ、目を閉じる。
猫の瞳は、いつの間にか群青色から爽やかな水色へと変わっていた。
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作者名：あをたに。 | 作成日時：2020年2月17日 13時
