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それが、新しいお母さんと一番上のお姉ちゃんの口癖だった。
お父さんはこのお家にもいることは少ないけどいる時は白雪お姉ちゃんと一緒。お母さんと蕀お姉ちゃんの表情はコロコロ変わるのに白雪お姉ちゃんはカチリとしたお人形さんみたいで、少しだけ怖かった。でも、新しいお家で“わたし”を見つけてくれたのは、認めてくれたのは白雪お姉ちゃんだった。白雪お姉ちゃんは賢くて、沢山のことを教えてくれた。いじわるしてくるお母さんと蕀お姉ちゃんと違ってわたしを優しく抱き締めてくれた。その暖かさが初めてのもので、泣いてしまった。白雪お姉ちゃんがやり終わったドリルやテキストを白雪お姉ちゃんの時間が空いている時に教えて貰いながらわたしはたくさん知っていった。白雪お姉ちゃんはわたしの、かみさまだ。
お父さんは定期的に白雪お姉ちゃんをどこかに連れていく。何をしにいっているのかはそれだけは白雪お姉ちゃんは教えてくれない。わたしは知らなくていいって。良い子良い子と撫でられたらそうなのかなと思ってしまう。白雪お姉ちゃんがいないとわたしは生きていけない。わたしの本当のお母さんはお父さんに構われなくなるのが嫌だからギリギリわたしを死なない程度にそだててくれていた。でも、ここでは白雪お姉ちゃんとお父さん以外は“敵”だから。わたしのヒーローは、白雪お姉ちゃんだけだった。お母さんは白雪お姉ちゃんとわたしのご飯をくれない。服も買ってくれない。何にもくれない。頑張っても認めてくれない。白雪お姉ちゃんがお父さんに言って服や教材、日用品を分けて貰って生活していた。
蕀お姉ちゃんはお母さんと一緒にいじめてくる。死ねば良いのにって、言われるのはいつものことだった。それは慣れた。でも、死にたくなかった。何でだろう、わたし、死にたくない理由がわからなくて、でも死にたくないのはたしかだった。白雪お姉ちゃんにそれを聞いた。白雪お姉ちゃんなら、わかるかなって。
「……きっと自分が消えて忘れられるのが恐いんだよ」
「こ、わい…?」
「そう、意味もなく、価値も残せず忘れ去られる事が恐いのだろうね」
「忘れ去られる…」
「人は忘却していく生き物だから、そうなんじゃないかな」
その言葉はストンと胸に収まった。

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設定タグ:ブルーロック , 愛され , 逆ハー   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:Coneko | 作成日時:2023年1月30日 2時

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