1.白雪姫と眠り姫 ページ2
───綺麗なだけなお姫様なんてつまらない。
今こそその“エゴ”をさらけ出せ。
◆◇◆◇◆
一人の少女がいた。
彼女にはある一つの欠陥があった。それは現代日本で生きていくなかでは必要不可欠で、彼女は社会に殺されるだろうと予想されていた。だが、彼女は誰よりも美しく、華麗に、逞しく、強く“世界”にすら認められることとなった。圧倒的才能と、技量。そしてある必然と言える特殊能力でその力を知らしめた。そんな彼女はその名に因んで「白雪姫」と呼ばれる。その美しさに可憐さに麗しさに。だが、彼女を知る人々は苦笑する。何故なら助けられるのを待つ受け身なお姫様なんてものでも、心優しいわけでも、他人の世話を進んでするわけではない。自身で何もかも掴み取る、それが可能であり、そうして生きている。自分の命を他者の意思や命すら駒とする。天性のエゴイスト。天上天下唯我独尊。自身の勝ちに貪欲である。
これはそんな彼女が“
◆
「可哀想な貴方に“幸せ”をあげる」
「出来るでしょう?」
「天国へ行けるのだから恐くないのよ」
ほんの幼い少女が窶れた大人の女一人にその蜂蜜酒のような甘い声で囁く。それに歪な希望を目に宿し女は少女を縋るように見た。それに一押しと少女は甘い毒を振り掛けた。
「呆気な〜」
少女はカタカタと買った最新の高性能パソコンで作業しながら、また同じく買ったスマホ数台を弄る。そんな彼女の髪は透明感のある白髪は下にいくにつれラベンダーカラーとなっている。同じくラベンダーの瞳は忙しなくウィンドウを見てはと動く。それが、彼女が初めて“人”を殺した日だった。
〈───本日、反社会組織の一つである○○が壊滅しました。犯行に及んだのは一名の女性であり、○○の所有する金融機関に多額の借金をしていたということでそれが犯行の動機ではないかと推測されており─────〉
ガブリ、と毒林檎が初めて齧られた。
7人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Coneko | 作成日時:2023年1月30日 2時