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(夏目side)
夏「とにかく、あの妖が現れる前に逃げないと。この結界の余波もそうは長く続かないんだろ…」
少女の右手の中にある裁ちばさみを外しながらニャンコにいい情報のお礼を言おうとした時だった。
夏「!?」
首あたりに何かが衝突したかのような衝撃が襲い、ニャンコの姿は跡形もなく消えていた。
――ユウジンチョウを知っているか?
あの言葉がやけに耳に残る。
夏「話が通じるからと油断した……。」
関わるとろくなことがない。
ため息をついて裁ちばさみを見つめる。
この子もそうだったのだろうか。
裁ちばさみを日に透かしてみて、思いをはせる。
どうして抑止力だなんて……。
赤い持ち手の裁ちばさみを鞘に戻して少女を抱き起す。
ちり
夏「やっぱり、傷がついてるじゃないか」
少女の端正な顔には小さな傷がいくつか刻まれていた。
河原で洗い流してやった方がいいだろうか。
そのまま背負おうとして気がつく。
夏「ふくらはぎ…かなりひどい傷があるじゃないか」
斜めに走る深いひっかき傷のような切り傷をみて思う。
ガイコツ野郎だなんて言っていたから、この子も妖に追いかけられていたのだろうか。
夏「思ったより、人間だ」
ちり…ん……
妖に襲われて逃げ出すなんて、この子も妖ならさっきのでどうにかなっただろうに。
それだけさっきの行動は今まで出会った妖の体験より恐怖を感じた。
でも、やっぱり、この子は女の子だ。
ちょうど河原においてきたカバンの中に応急セットが入ってればいいな、と願いつつ、俺は比較的静かな森を見知らぬ少女を背負って横切った。
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ルア・クロワール(プロフ) - さんきゅう、ゼル!次も頑張るのにゃ! (2015年1月27日 21時) (レス) id: 266707fba7 (このIDを非表示/違反報告)
ゼル@瑞西領平成目隠島物怪村(プロフ) - ルアー!ハロハロ~☆やっと来れたよ!夢主ちゃん激おこぷんぷん丸カムチャッカファ…げふんげふん。とりあえずお気に入りぽちっとな! (2015年1月24日 22時) (レス) id: d2761511ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルア・クロワール | 作成日時:2015年1月23日 21時