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(夏目side)
ドサッ、と草むらにさっきまで物騒なことをしていた少女が倒れ込んだ。
即座に手を貸すだなんて、さっきの恐怖を思い出すととてもではないができない。
なんだったんだアレは……。
しばらく少女の雰囲気にのまれていた俺はとりあえず招き猫の妖に向き直って聞く。
夏「えーと、ニャンコ」
招「失礼な!私はそこらの低級どもとは違うと言っているだろう!」
短い前足で抗議する三毛猫の招き猫は、どうも低級でないと言われても納得しづらい。
祠に封印される必要があるほど強いのかもしれないが、あっさりと封印されていたのだとしたら、それは低級以外の何者でもないと正直に思う。
夏「でも呼び方がほかに思いつかないんだよ。さっきのこの子みたいに招き猫でもいいのか?」
森の豊かに茂った草むらにうつ伏せで倒れた少女を指さす。
草とかで傷を作ってはいないだろうか。
なんとも迫力のある表情をしていたので気がつけなかったが、倒れる寸前に見た顔はかなりの美人だった気がする。
招→ニ「むむ。それはそれで嫌だな。もうよい、ニャンコと呼べ。それで許してやろう!」
夏「じゃあ、ニャンコ。この子は人間だろうな?」
二「先ほどお前がそうだと言ったじゃないか」
夏「それはこの子が言ったことで、俺は『人間が無邪気な殺気を放てるか』って質問に、『人それぞれだ』と答えただけだ。はっきりと人間だとは断言していない」
ニ「それなら、この小娘はなんだというのだ」
妖だなんて冗談は言うなよ?とニャンコが片目で言う。
ようするに、人間で間違いないのだろう。
夏「ならいい。ここにはしばらく妖がうろつけないって言うし、女の子ひとり背負っても森を抜けられる。ありがとう、ニャンコ」
とりあえずここに放っておくのは気が進まないので、これまた気が進まないのだが河原あたりなら安全だろうからそこまで運んで行こうと思う。
本当は家に連れて行ってちゃんとした手当をするべきなんだろうが……。
――あら、どうしたのタカシ君?またワンパクしちゃって…。もう、ちゃんと土を払ってお風呂に入るのよ。晩ごはんはエビフライだから
あの優しい声がひどく冷たいもの変わるのは嫌だった。
塔子さんなら、笑顔で受け入れてくれそうでも、怖くてたった一歩が踏み出せない。
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ルア・クロワール(プロフ) - さんきゅう、ゼル!次も頑張るのにゃ! (2015年1月27日 21時) (レス) id: 266707fba7 (このIDを非表示/違反報告)
ゼル@瑞西領平成目隠島物怪村(プロフ) - ルアー!ハロハロ~☆やっと来れたよ!夢主ちゃん激おこぷんぷん丸カムチャッカファ…げふんげふん。とりあえずお気に入りぽちっとな! (2015年1月24日 22時) (レス) id: d2761511ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルア・クロワール | 作成日時:2015年1月23日 21時