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(夏目side)
…【友人帳】、ねぇ…
さっきのニャンコ先生の話は信じるに値するか、否か。
それでも、まぁ、妖たちが俺を祖母と間違えて襲ってきているのは事実だ。
夏「……なにやってくれてんだ………」
妖たちがどんなに恨みつらみを持っていようとも、いちおう俺には関係のないはずのことなので、こっちとしてはいい迷惑だ。
それでも、この友人帳をどうにかしなければいけないようだ。
たったったったっ、軽い調子で階段を駆け下りる。
玄関を見てみると、訪問者がドアの横から顔を出していた。
夏「すいません、家の者は今、留守で……」
俺が言うや否や、そいつは能面のように不気味な笑顔で呟いた。
?「ああ、やはり」
ぞっ、ざらついた雑音が背筋に氷塊を滑り込ませる。
コイツ、さっき、追いかけてきた……
妖1「帰ってきたね、レイコ」
その声に一瞬身体が強張った俺めがけて、ソイツが膝から上を伸ばして迫ってくる。
あ、妖だ……!
頭を抱えてそれを避け、左手に持った友人帳を強く握りしめる。
俺を捕まえることのできなかった妖は背後の壁に激突して、ばんっ、と太鼓のような音を響かせた。
夏「な…」
妖1「…ジンチョウ」
瞠目する俺を、壁に貼り付きながら髪をだらんと垂れ下げて恨めしそうに妖が見る。
急なことにへたりと座り込んでしまった俺と妖の目が合う。
ぞっとするような殺意のみの冷たい目だった。
妖1「かえせ…名前を……」
地を這うような声に、友人帳を後ろ手で庇う。
妖1「ユウジンチョウ…」
冷や汗がぽつぽつと肌に滲み出る。
?「ごめんください」
夏「!」
再度森で聞いた妖の声が玄関から響いた。
この声は一つ目の図体がでかいやつだ…!
妖2「ユウジンチョウ、かえせ、かえせ、レイコ」
ひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひた
静かな足音とともに大きく目を見開いた妖が手を伸ばしてきた。
それと同時に、反対で何かが動く気配がして、思わず前に手をついてそこから飛び退く。
妖1「うぅぅっ」
妖2「うぎゃぁ」
振り返ると妖たちがぶつかり合って、廊下に倒れ伏していた。
これはヤバい、家にいたら大変なことになる。
満月もいるし、心配はかけたくない。
それだけの思いで、俺は開いていた窓から外へ飛び出した。
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ルア・クロワール(プロフ) - さんきゅう、ゼル!次も頑張るのにゃ! (2015年1月27日 21時) (レス) id: 266707fba7 (このIDを非表示/違反報告)
ゼル@瑞西領平成目隠島物怪村(プロフ) - ルアー!ハロハロ~☆やっと来れたよ!夢主ちゃん激おこぷんぷん丸カムチャッカファ…げふんげふん。とりあえずお気に入りぽちっとな! (2015年1月24日 22時) (レス) id: d2761511ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルア・クロワール | 作成日時:2015年1月23日 21時