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(Aside)
夏「あ、あ……なんだか頭が痛くなってくるな…。……ニャンコ先生は何でそんなのが欲しいんだ?」
夏目君が、わたしの呟きを拾ったのか、苦笑い+渋い顔で頭に手を当てます。
その表情って、案外作るの難しいと思います、とどこか場違いな思いはいったん端に追いやってきれいに片づけました。
二「…それは、お前……。
その紙を持つ者に名を呼ばれ命令をうけると逆らうことはできないと言われている。
つまり、多くの妖を統べることができるのだ」
信憑性のある声でニャンコ先生が言いました。
多くの妖を、統べる名簿帳……ですか。
………みおのは、ゆずり、かのか、しののめ、かいどり、たつえだ、ひだか、くおん、ときとせ、ふじな、みなかみ……
さっき夏目君の【友人帳】をめくりながら呟いた言の葉を思い起こしました。
と、同時に、好奇心に負けた8年ほど前の記憶がちらちらと視界をかすめていきます。
『…くおん、みおのえ、ひのえ、のうて、みすず、ちよの……』
手のひらサイズの古めかしい帳面。
視界で移り変わるところどころ変色した紙。
不可思議な模様から読み取れるたくさんの名前。
ちゃんと書かれていました。
その小さな帳面にも、
夏目君の【友人帳】にも、
おそらく、妖たちの名前が。
なぜ、アレと同じようなものがここにあるのでしょうか?
もしかして……
ぎゅ、と首から下げた小さな帳面を強く握りしめました。
夏「…これがそんなにたいそうなものなのか?」
すまん、と夏目君が一言おいて、今度は夏目君がぱらぱらぱら〜、と軽い感じで白い紙を躍らせます。
やっぱり夏目君も疑っているようで、片眉を下げてそれを眺めていました。
二「わっ! ぞんざいには扱うな! その紙を燃やすとその妖も同じめに遭うと言われているんだぞ!?」
「ほ、本当ですか?それ、ページが軽く百を超えちゃっていますけど」
先生が急に大きな声で言い、思わずわたしは友人帳を指さして言ってしまいました。
ちなみに、詳しく言えば三百以上ありましたけど。
夏「ひ、ひゃく、いじょう……!?」
青ざめた顔で驚く夏目君に、わたしはコクコク、と小さくうなずきました。
夏目君、わたしもあなたと同じ気持ちです。
貴方のお祖母さんは、一体、何をしていたんです?
わたしの予想では、ヤンキーさんです。
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ルア・クロワール(プロフ) - さんきゅう、ゼル!次も頑張るのにゃ! (2015年1月27日 21時) (レス) id: 266707fba7 (このIDを非表示/違反報告)
ゼル@瑞西領平成目隠島物怪村(プロフ) - ルアー!ハロハロ~☆やっと来れたよ!夢主ちゃん激おこぷんぷん丸カムチャッカファ…げふんげふん。とりあえずお気に入りぽちっとな! (2015年1月24日 22時) (レス) id: d2761511ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルア・クロワール | 作成日時:2015年1月23日 21時