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(Aside)




夏「いや、そういう問題じゃなくて……! アレ、けっこうびっくりしたんですよ?」


ちら、ちら、と目を先ほど音のした部屋に向けながら常識人くんが軽く呆れるように見てきます。

柄になく、呆れられちゃってます、わたし。


「ふふ、裁ちばさみ、ごめんなさい。アレにもびっくりしましたでしょう?」

夏「ええ、もちろん。初対面でああいうのを向けられたのはあや……妖以外には、ないですよ」


彼が少し躊躇って言った単語は、おそらくわたし達が共有できるモノ。


「そうでしょう? わたしもありませんもん」


ずいぶんと久しぶりに自然と笑みがこぼれました。

あぁ、なんて楽しいことでしょう。

夏「……それを躊躇いもなく向けてくるのは問題があると思うんですが…」

「ふふふ、ごめんなさい。けっこう、切羽詰まっていましたので」


ちりりん

じとー、と複雑そうな目で見てくる彼を見て、ふふふ、とまた唇の間から音が漏れ出てきます。

そんな顔を向けられたのはいつぶりでしょうか?

彼が、はぁ、と呆れたようにため息をついて、わたしから体温が移った濡れタオルを没収していきました。

あ、持って行っちゃうんですか?


「「……」」


ぱしゃぱしゃと洗面器からの水音が静かになった部屋に響きます。

互いに口を閉じた空間は、思ったより空気が重くのしかかってきて少し冷や汗が出てきました。

こ、こんなに、気まずいものでしたでしょうか?


「「あ、あの」」


互いに耐え切れず発した声は見事にハモり、気まずさをさらに膨張させました。

わお、やっちゃいました。

ああ、えっと、



「「あ、いえ、お先にどうぞ」」



あ、と互いの目が合います。


「「…………」」


夏「ぷっ、くくく」

「ふふふ、ふふっ」


りりりん

今度は譲る言葉がまた見事にハモり、沈黙に変わって次に耐え切れなくなったのは愉快さでした。

はたまた笑いがお腹の底から出てきます。


夏「あははは、あは、くくく」

「うふふ、あはは、ふふふふ」


ちりり、りりん

彼も抑えきれないのか、片手で口を押さえながら体をくの字にして笑い続けています。

あぁ、おかしいものです。

こうも揃うだなんて、ふふふ……

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設定タグ:夏目友人帳 , 妖怪 , ルア・クロワール   
作品ジャンル:アニメ
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ルア・クロワール(プロフ) - さんきゅう、ゼル!次も頑張るのにゃ! (2015年1月27日 21時) (レス) id: 266707fba7 (このIDを非表示/違反報告)
ゼル@瑞西領平成目隠島物怪村(プロフ) - ルアー!ハロハロ~☆やっと来れたよ!夢主ちゃん激おこぷんぷん丸カムチャッカファ…げふんげふん。とりあえずお気に入りぽちっとな! (2015年1月24日 22時) (レス) id: d2761511ae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ルア・クロワール | 作成日時:2015年1月23日 21時

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