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万里side
Aは病室に運ばれた。
俺たちは、外で待っているように言われた。
紬「Aちゃんのことなんだけど...」
しんとした空気の中、紬さんが口を開いた。
紬「彼女の癌は完治してなかった。その上、花吐き病まで引き起こしてしまったんだ」
Aの癌は治ったはずじゃなかったのか。
だって、今まで普通に一緒に過ごして...
普通に...？
紬「思い当たる節があるんじゃないかな？急に体が痛くなったり、咳き込んだり、体を起こすのをねだってきたり。彼女はだんだん隠しきれなくなってた」
風邪だと言って病院に行ったのも、起きた時に不調を訴えたのも、靴擦れだと言って早く帰ったのも、全部Aが必死に隠すために言い訳したのか。
紬「とても辛く思ってた。万里くんに嘘をついている自分が嫌だって。でも嘘をつかないと死ぬ直前まで万里くんと一緒にいられないからって、ずっと一人で悩んでた」
万「A...」
紬「君のことを一番大切に想ってた。...想いすぎたのかな。普通の花吐き病とは違う、発症例の少ない花吐き病も患った」
花吐き病は両想いになると治る病気だから、おかしいと思っていた。
紬「彼女の花吐き病は、彼女の好きな人が彼女のことを本気で大切に思い、その思いを口に出さないと完治しない、特殊なものだった」
昨日の夜だ。
昨日俺が大切だと言ったから。
紬「白い花びらは完治した証拠だよ。彼女の花吐き病は完治しなければ死に陥る怖い病気だったから、早く治って良かった」
万「死ぬかもしれなかったのになんで早く言ってくれなかったんだ...」
「お取り込み中のところすみません」
1人の看護師が俺たちの所に来た。
「Aさんの意識が戻られました。病室に案内いたします」
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作者名：もんたぎゅー | 作成日時：2018年10月11日 21時
