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万里side
私が貴方に告白した場所で、待ってる。
一通のメールがきた。
知らない電話番号からだった。
でも、俺には思い当たる人物が1人いた。
万「A...?」
Aがこのメールを送った。
そんな気がして、俺は急いで寮を出た。
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貴「来てくれてありがとう」
万「A...」
大きな桜の木の下にAはいた。
貴「電話番号、変わってなくて良かった」
万「どうして俺を呼び出したんだ」
貴「謝りたくて。別れを切り出したこと」
高校2年生の冬、俺たちは別れた。
付き合ってもうすぐ2年になる時期だったのに。
万「なんであの日学校を辞めたりしたんだ」
貴「...癌だった。治らない可能性が高くて」
万「癌...?」
貴「治療に時間がかかるから、学校も辞めた。死ぬかもしれない私と付き合うよりも、他の人と付き合った方がいいと思って貴方とも別れた」
万「なんだよそれ...」
俺はなんとも言えない気持ちになった。
悲しさとか、不安感とか、いろんな負の感情が混ざったような、そんな気持ち。
癌を患ったことを言わずに別れを切り出したこと、Aが死ぬかもしれなかったこと。
一気に情報が入ってきて、混乱してしまう。
貴「でも、別れる時に言ったよね。もしまた次があるのなら、」
万「私はきっと貴方の元に戻る」
貴「なんだ、覚えてたんだ...」
そう言って、Aは悲しげに笑った。
貴「私に次って、あるのかなぁ...」
そう言って、Aは笑いながら泣いた。
無理して笑顔作って、でも涙は抑えられてなくて。
万「ある。だから俺はここに来たんだろ。だからもう泣くな」
そう言って、Aを抱きしめた。
そしたらAはもっと泣いた。
Aのことだから罪悪感とか感じてるんだろ。
そう思って、俺は優しくAの背中を撫でた。
俺はまだ、Aがこんなに泣く理由を知らなかった。
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作者名:もんたぎゅー | 作成日時:2018年10月11日 21時