弱虫12匹 ページ14
コンクールは無事全国大会を金賞で終えた。
バレー部はインターハイ準優勝。つまりは全国2位の偉大な成績をもって学校へと帰ってきた。
そんな秋、私はとある日課を手に入れた。
吹奏楽部の活動する校舎A棟の第1音楽室から廊下に出て少し歩いた先には、前年度の3年生のある1人が密かに使用していた穴場の練習場所がある。なんでも、誰にも見つからない上に程よい広さで練習場所には最適なんだとか。
そんな練習場所でいつものように吹いていると、長濱先輩がやってきて2人でタンギング練習を始めた時だった。
長濱「Aちゃん。ここよく見つけたなあ。ここは確かにいい場所やわあ。」
とニヤニヤしながら先輩が言っていたのが気になり、
貴「なにがそこまでいいんですか??」
と聞くと、先輩は呆気に取られたように目を見開いていた。
長濱「え、ここバレー部の使う体育館のでかい窓と直線上やん?よお練習見えるやんか。」
まさかのバレー部目当てでここを使っていると思われていたのか。どうりで私が練習場所を譲ろうとしたらええよええよとニヤニヤされた訳だ。
長濱「よお1年生の子のこと気にしとるみたいやし、去年の応援演奏断っとったの意外やったけどてっきりそうかと思っとったわ。」
貴「え、1年生の子…?」
長濱「あの、切れ長で背の高い、えーと、角名くんやっけ??」
嘘だろ、そんな気にしてたか?先輩の観察眼の鋭さにびっくりしていると、先輩はまたニヤニヤとしだした。
長濱「えー、その様子じゃ無意識かあー?なんやAちゃんも隅におけんなあ。」
校内新聞とか廊下通る度ちらちらみとるし、バレー部の話になったら角名くんの時だけ割と聞いとるし、絶対そうやんと思っとったのに。
確かにバレー部の人気はすごい物で、吹奏楽部でも休憩時間等には先輩や同級生が話しているのを聞くこともあった。まさか自分が倫太郎の話だけ聞いていたとは。
長濱「話かけたりしてみいひんの??」
貴「え、いやー。話しかけるのはいいですかねー。」
先輩は私の方を見ると、からかうと言うよりは娘を見守る母のような目で私を見た。
長濱「Aちゃんは、なんか弱虫よなあ。
いつも人見知りしとるし、私には辛辣なことも言いよるのに他の3年には話しかけにも行かんよな。」
ギクリ。として窓の外に視線を逃がすと、ブロック練習をする倫太郎か見えてさっと外から見えないように隠れると、同じように倫太郎を見つけた長濱先輩にまたニヤニヤとされた。
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水野 - 更新待ってて良かったです!超面白いです! (2020年7月20日 21時) (レス) id: cdb3fa391f (このIDを非表示/違反報告)
さくやん(プロフ) - ?さん» 申し訳ありません!修正しました! (2020年7月9日 21時) (レス) id: 417db36de3 (このIDを非表示/違反報告)
至ってノーマル - 素敵すぎます!!!!!めっちゃ好きです!!かっこかわいい推しをありがとうございます!!!!応援しております! (2020年7月9日 18時) (レス) id: 5e35942dd3 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - 途中から名前が万智になってます(泣) (2020年7月9日 17時) (レス) id: f4c6db3892 (このIDを非表示/違反報告)
Rui(プロフ) - はじめまして!とても面白いです!更新楽しみにしてます!! (2020年3月28日 21時) (レス) id: 6ad8403b99 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくやん | 作成日時:2019年9月13日 23時