好きだった、好きなんだ。【Fischer’s赤】

12 素直 ページ12

芹沢side






私は入学した時から飛鳥(コイツ)が嫌いだった。

何でそんなに可愛いの、何でそんなに部活のさそいがくるの。何でそんなに頭がいいの。
何でそんなにスタイルがいいの。何でそんなに人に好かれるの。何でそんなに愛されているの。


飛鳥(コイツ)は私の理想的な女子だった。静かで、頭が良くて歩くだけで可愛いと言われ。



本当は私が飛鳥(コイツ)の立場になっているはずだったのに。

羨ましいんだ、素直に。でも、その気持ちを恨みに変えていじめてしまう

下品な自分が嫌で、また八つ当たりしていじめてしまう。羨ましいだけなのに。




尊敬しているはずなのに。







そんな気持ちのまま2年になったらまたこれよ。


絹張くんの席の隣が飛鳥(コイツ)なの。



それでもっと羨ましいと思う気持ちが増え、どんどん恨む気持ちに塗り替えられていった。



もう、この際絹張くんに嫌われてもいいから飛鳥(コイツ)を痛めつけたかった。






春の涼しい風が、飛鳥(コイツ)と私を嘲笑うように強く吹く。

飛鳥(コイツ)は少し顔をおさえた。


『それで、何でここに呼んだの。』


飛鳥(コイツ)はそういった。

芹沢「まず、敬語で話しなさい。あなたをここに呼んだのはもうあなたがわかっているはずよね？」



『まぁ、そうだけど。で？何をしたいの。』



間宮「おい！敬語を使えと明様が言ったのが聞こえていないのか！？」



間宮が怒鳴った。周りの空気が一層冷たくなり、私の怒りもどっとあがった。


『ねぇ、さっさと話してよ。寒いから帰りたいんだけど。』


間宮の言葉を無視して飛鳥(コイツ)が話す。

言葉からはわからないほど普段と変わらない表情なのにな。

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