好きだった、好きなんだ。【Fischer’s赤】

2 新学期 ページ2

飛鳥side




『そういえば。』




そう、そういえば。


今日は新学期である。



高校2年目の日。


クラス替えの日。


そして新しい仲間が来る日でもあるな。




もう先に仕事に行ってしまった母にLINEを送る。


Aお母さん、高校行ってくる。
母うん、いってらっしゃい。気をつけてね。
A行ってきます。気をつけます。
母そういえば新学期よね。
Aそうだねー。行ってくるねー。


そんなそっけないやりとりも、2日できないと悲しくなるだろう。

と、天井を見上げる。



自転車を玄関から出し、携帯をポケットにしまって漕ぎ出す。




春の少し暖かな風が頰に当たる。



私はそれだけで自然と笑顔になる。

ふにゃ、と顔の力がゆるんだ。それを少し恥ずかしいと思った私は


顎に手を当て、はにかんだ。





4月10日___新しい高校生活が始まる。

AM7:45 誰もいない朝は、私が一番好きな朝だ。


すぅっと澄んだ空気が口に入ってくるのがなんとも言えないが心地いい。



AM8:06 校門で、教師から新学期表をもらう。

ほう、今年は2年椿組か。私の通う高校はクラスの名前が


1年・・・雪組、雨組、月組、星組。

2年・・・柏組、椿組、桜組、梅組、薔薇組。

3年・・・海組、空組、鳥組。



と変わった名前なのだ。


それで、私は椿組というわけ。



普通でいう、B組や2組という所だ。






どんな仲間が待っているのだろうかと、不思議と心臓が跳ねる。

3 出会い→←1(設定)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す