今日も風さえ吹きすぎる3【中原中也】

風が頬をなでた22 ページ23

気持ち悪い、あの男の手が伸びてくる

［汚い！］

そうだね、私は汚いよ



けど、




『愛してほしい』









・

目を覚ますと見慣れた天井が見えた

家に帰ってきたのだ


『なんで私ここに寝てるんだろ？』

確か探偵社に行って太宰さんと喋って、その後は、何だっけ？



『ま、いいや』

ベッドから降りてリビングへ向かう


ドアを開けるといい匂いがしてきた



「よう、起きたか」

キッチンに立っていたのは久しぶりに見る中也だった



『何か久しぶり』


「3、4日なのにな」


『そうだね』



うまく話せてるかな？

実は記憶が戻って、中也が私の初恋の相手だったという事が分かった
そう考えると何か接し方に困る



「朝ごはんにするから運ぶの手伝え」

『はーい』



テーブルにはいつも通り色鮮やかな食事が並んだ



『いっつも思ってるんだけどさ』

「？」

『朝からこんなに作って大変じゃないの？』


「んだよ急に、別に大変じゃねえけど」


『ふーん、じゃあいただきます』

「いただきます」



マフィアがしっかり手を合わせていただきますって言うのもなんかおかしいか話だなと考えつつ味噌汁を啜る



「A」

『ん？』


「手前にあやまんなきゃねえ事が何個かある」


『なーに？まさか盗聴の話？』


「気付いてたのかよ」


『途中からね』

江戸川乱歩の妹だもん、それぐらい言われなくても分かるし



「まさかガキの頃にあった奴がAだったとはな」


『私もビックリした』



心なしか中也の顔が少し赤い
どうしたんだろ


「もう一つあやまんなきゃねえ事がある」


『何？』









・






「手前の母親を殺したのは俺だ」

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