今日も風さえ吹きすぎる3【中原中也】

風が頬をなでた12 過去編 ページ13

「起きて」

暖かい布団と暖かい声を感じて目を覚ますと女の人が私を笑顔で見ていた



『っ、ここはどこ？』

声は少し掠れていてはっきりと喋れたか分からなかった



「あなたは道端に倒れていたのでこの施設で保護しました、今日からここがあなたの家です、宜しくね！えっと・・・お名前は？」


『・・・園Aです』



「そうAちゃんね！よろしく！」



差し出された手を握った





この施設は［青い空］という保護施設で主に生活環境の悪い子供を保護したり、育児放棄、虐待を受けた子供を守る施設だと後で教えてもらった

起きた時に居た女性はこの施設の施設長だという事も分かった









・









施設に保護されてから1ヶ月ほどたった






「やあAちゃん、いらっしゃい！こっちへおいで」

お屋敷に入っていった男の背中を追って歩く

振り返ると施設長がとびっきりの笑顔から無の表情へ変わっていて身震いがした







［青い空］は地獄のような場所だった






表向きはとてもいい施設だが裏では子供達を売ったり貸したりすることによって儲けをだし、その金で施設の大人達は遊んでいたのだ


売られたり貸されたりされた子供はボコボコに殴られ帰ってきたり性 欲の吐き溜めとして利用されていた



ある金持ちの目に止まった私は、施設長に連れられ週に何度かその男の家に連れてこられていた




『パパきょうはなにをするの？』

この家では男の事を［パパ］と呼ぶようにと命令されていた


「今日もねAちゃんのためにドレスを買ってきたんだ！」

『ほんとに！うれしいパパありがとう！！』


そう言って男に抱きつくと優しく頭を撫でられ吐き気がした

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